アキのうた-2
「………」
「最後の曲の途中で帰っちゃうよね、君。」
………。
「あの曲だけ名前がないんだ、まだ」
………。
「それでね……君に名前つけてほしい」
俺が!?
何で??
関係ないだろ。
「何で俺があんたの曲に名前つけなくちゃならない?」
「だって、…君しかいないし」
俺しかいない?
何のことだ?
俺以外にも聞いてくれる人はいるだろ。
「だから、今度はちゃんと最後まで聞いていって、ね」
………。
「じゃあ、おやすみ」
おやすみ。
「いつも聞いてくれてありがとう」
どういたしまして。
「またね」
また……
俺が最後まで聞かなかったのは、あんたと話すのがこわかったんだ。
最後の曲を引き終えたあんたは俺のとなりに座った。