初体験-2
歓声があたしをライブに引き戻す。
再び視線を戻した先に彼がいた。
ベースを弾いていた。
音は一度も途切れてない。
始めから居たんだ!
眼鏡がなかったさっきの彼と、目立つ黒ぶちをかけた今の彼。
ホントにびっくりした。
思わず、嘘、って呟いた。
彼だ!
彼だ!!
彼だ!!!
同じ人だってびっくりして、
また見つけられたのが嬉しくて、
男の人達が彼の名前を目の前で叫んでた。
彼はやっぱり照れていた。
あたしは、また彼を遠く感じて、
何故か、人気モノなのが切なくて、
そんな気持ち初めてで、
どうしたらいいのか分からなくて、
胸はドキドキしてて。。
ただ見つめてた。
ずっとずっと、
じっとぼおっと、
彼を、
彼だけを見つめ続けていた。。。