秘中花〜堰花〜-4
「女は駄目だと言ったでしょう、宗家っ!」
亜蓮の懇願も叶わず、ただただ…罰するために。
先日の舞の変化が、宗家の疑心を呼び起こしたのだ。
男に抱かれるのならまだいい。
男に穢されるのならまだいい。
だけど女は……
「案ずるな。奥方はピルを常用している」
「そんな問題じゃないっ!」
噛みつく亜蓮に、宗家は有無を言わせない。
客人が来る時間まで、あとわずか。
着物の袖を腕ごと掴まれる。あっと思う間もなく、畳に押し倒された。
「お前はただ、私の掌で舞えばいい」
亜蓮の抵抗を予測していたのだろう、袴の裾をめくられ双丘の奥一点に宗家の指が触れる。
「何をす…、っ!!!」
こわばった窄みをこじ開け、覚えのある固形が内部にぐっと押し込まれた。
(っああ…!凛子…)
目の前が真っ暗になる。
なす術もない卑怯に平伏してしまう。
あと何度、諦めたらいい?
能シテ方最大流派である観水流。
旧き伝統であるが故に、舞台や様々な運営・維持費等で支出も大きく、後援者の援助なしでは立ち行かない。能を後世に残すためにも、金はいくらあっても困らないのだ。
今日までの繁栄があるのは、秘事中の秘事として継がれてきた裏伝統によるのが大きい。
人身御供さながらの、淫宴という儀式。
その因習は一度二度途絶えつつ現在も続き、5代前は七世・若月史郎。以降は女性と、そして今は亜蓮が役目を担う。
忌み嫌うだけでしかない悪習…。
しかし亜蓮の性別を超越した容貌は、存在するだけで人の情欲を誘う。
金にあかしてでも欲しがる大物は後を絶たない。
大口寄付や後見とを引き換えに、亜蓮との一夜。
宗家自らが慎重に選り抜いた客人を、年に数回、観水屋敷の奥部屋にて接待を行うのだ。
今夜も一組の夫婦。
―――陵辱の宴が始まる。
媚薬に支配された肉体は、亜蓮の矜持を奪う。
じわじわと。
腸壁で弾けた快感が体中を駆け抜け、亜蓮を容赦なく狂わせる。
「はっ、早く!犯して、ください…っ!」
もう意識まで沸騰している。屈したくないと思いながら、だけど自分でも手に負えない。
亜蓮には淫乱の気があるのだ。
四つ這いになった亜蓮は、切迫した疼痒に咽ぶ。
潤滑剤で緩んだ菊蕾は色艶を増し、悩ましげに喘いでいる。
「ほぅ…堕ちた天女もまた格別だ」
客人である荻原が好色に緩ませながら、亜蓮を穿つ。
「あうぅ!」
それだけで吐精してしまった。待ちに待った男根に、肉襞が我先にと絡んでゆく。
「くおぉ…喰い千切られそうだ…」
「もっと…して…」
達しても鎮火しない欲望。
普段から自己抑制主義の亜蓮にとって、媚薬の効力は凄まじい。堰が切ったかのように乱れてしまうのだ。
「いいぞ!いいぞ、亜蓮!」
興奮の度合いを増す荻原。
瞬間、絶頂に吠えながら亜蓮の狭隘に濁液を放した。
「あぅ…」
その熱さに脳髄まで痺れてしまう亜蓮。
しかし「まだだ!」荻原の肉茎は衰えることなく、更に犯してくる。
「ああぁあああっ!」
「よく吸いつく肌だ。中も実にいい…」
たっぷりした精液が渦巻く中を蹂躙続けられる快感に、亜蓮もまた貪婪に腰を振る。