年上の事情。‐プロローグ-2
「はーい」
スタジオに入ると、スタッフにモデル‥大きいのから小さいのまで20名近くが集まっていた。
「皆さん、今日はお願いしまーす!」
あたしの一声で撮影がスタートする。
「あ、3人。裏に衣裳が来てるはずだから、それ持ってきて」
せっかくだから、しっかり働いてもらおう。
「お、重い〜」
祝さやかが荷物を運んできた。
「‥っていうか、あんた。祝さん、その格好見てられないんだけど」
ヒールにミニスカート。
いわゆる祝さんは、いまどき風。
「うちらの仕事、子供相手だし体力使うし。これからはそういう服はちょっと」
「えぇ〜。あたしスカートしか持ってないですぅ」
な、なにぃ?!
「あ〜あぁ、先輩!」
香ちゃんが気づいてやってくる。
「まぁまぁ。いいじゃないですか。まだハタチなんだし、きっとそのうち分かってきますって」
そう小声で言ってくる。
「香ちゃん。パスっ!」
あーダメだ。短大卒業したばかりの子にわかるわけもないのだ。
しかし、あたしと6つも違うのか?!無理だ。
香ちゃん指導は任せた。
新入社員その2、
立花剛志(22)
――‥
「服って、結構重いんですねー」
そう言ってるが、祝さんよりははるかに倍の量を軽々と運んでくる。
立花剛志、がっちりしていてスポーツマン系。聞くところによると大学でラグビーをしていたらしい。
こういう時、男手がいてよかったと思う。
「冬物だからね」
今は春。しかし、もう仕事は冬服を扱っている。
バタバタ‥
きゃーきゃー‥
モデルの子供たちが走り回りだした。あーぁ。始まった。
「こらー。走っちゃダメだよー」
香ちゃんが叫んでいる。
「ねぇ、おっきいお兄ちゃん。肩車してぇ」
「おっ、いいぞー」
寄ってきた子供を立花くんは肩にあげた。
子供は喜んでいる。
立花くん、結構使えるな。
「あたし、彼、タイプです」
香ちゃんがこそっとあたしに言ってきた。