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Out of reality the world
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Out of reality the world-3

【3】





僕の日常を一言で言うと「平凡」と呼べる日常だった。毎日決められた時間に朝起きて決められた時間に学校へと登校する。
学校でもまた決められた時間割通りの授業を受け、そして決められた時間に終わる。
そんな「決められた」毎日を僕は送っていた。別にそんな日常に嫌気が差すとか嫌ではなく、確かに退屈な日常かも知れないが、僕にとってこのぼのぼのとした平和な日常に満足をしていた。だってただ毎日決められたことをすれば良いだけのこと。そんな決められたレールをわざわざ外れる必要もないわけで、川の流れに従うように僕は日々を流れていくだけ。ただそれだけだった……。
当然命の関わる事なんてなかったし、交通事故にあわない限りは生きていくなかで「絶体絶命」という場面には合わないだろうと思っていた。
そんな事を思っていた僕の目に写るのは、一人の女性、とうべきか、外見からまだ少女と呼ばれるであろう女の子が木を背に、尻餅を付きながら震えている姿だった。
手元にはなにやら籠らしきものが雑に置かれており、そこから黄色い楕円状の果物らしき物がいくつも転がっていた。
少女が怯えた瞳を向けている方へ目を向けると、一匹の犬。いや、もっと大きな狼ぐらいだろうか? 
狼にしても大きすぎるほどで、例えるなら、RPGゲームで出てくる「モンスター」がいた。
鋭く尖った牙。長く細長い鼻先をふるふると揺らし「ぐるる」とくぐ篭った声を出して少女を威嚇している。その綺麗な藍色をした毛並みを逆立てて、今にも少女に遅い掛かろうとしていた。
僕はこの光景を木の影から見ていたが……まさに「絶対絶命」と言う状況だろう。
合わないだろうと思っていた現状に僕は体中に力が入らないことを感じた。
あれから走るに走って、悲鳴が聞こえた元へたどり着いた僕だが、人生そんな甘い事はなく、僕の願いとは反してかなり危険な状況らしい。
頭の中に存在する天使と悪魔が「あれに関わると死にますよ? 逃げたほうがいいって!」と両方意見一致で僕に警告をだしてくる。
今更だが滅茶苦茶後悔してますよ、ほんとに。考え無し来たのが失敗だった。
助けるにしたってこのまま素手ではどうしようもないだろう。何か武器になる物、といっても実際にあの化け物と戦ったら適うわけもないし、ここは化け物と戦うのではなく、彼女から僕に標的を変えて、化け物が僕に気を向けている内に彼女が逃げて僕も逃げるという作戦でいこう。
僕は周りに何か投げられる物はないかと探してみると、あの少女の籠から転がる同じ果物を見つけた。
僕はそれを拾い上げると、果物はゴツゴツとしていて丈夫そうなものだという事がわかった。
僕はその果物を片手に持ち、化け物を睨みつける。
未だ化け物は威嚇するだけで動かないが、いつ少女に襲い掛かるかわからない。


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