舞子 〜俺の彼女〜-3
「嫉妬してんのか?弟の俺に?」
そう言うセイは、呆れたように笑ってるけど、どこか淋しそうな、
――舞子と同じ表情を――
首から上に、一気に血が集まる感じがした。
(嫉妬!?あぁ、そうだよ、嫉妬だよ!!この俺様が、みっともないほど嫉妬してるよ!!)
「……っっ 清十郎!!」
「なんだよ」
掴んだセイの腕には缶コーヒーが。
飲み口から、はじけて、少しこぼれた。
そうだ、俺は悔しいんだ。
俺には分からない、2人の価値観が。
「……とりあえず、舞子と同じコーヒーを飲むな」
ようやくそれだけ言うと、投げ出すようにセイの腕を放し、俺は背を向けた。
(バカみたいだ、俺…子供みたいに…)
校舎への入り口へと向かう俺を、追いかけるようにセイが言った。
「おい、何を言ってるか知らんが、姉さんはブラック飲めねーよ」
――何?
「それに、俺たちが実の姉弟じゃないからって、心配するな。舞子にとって、俺はただの弟だから」
――何?
足は全く動かない。
ゆっくりと振り返る。
俺を見てるセイ。
『姉さんはブラック飲めない』……?
『実の姉弟じゃない』……?
俺の中の嫉妬が、不安へと色を変えて、
広がり始めた――