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五月の雨
【エッセイ/詩 恋愛小説】

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雨が止むまで-1

突然降り出した
五月の雨。


君と二人、
サビレた駄菓子屋の軒先。

あたしの目には、
妙にポストの赤が鮮やかに映った。


世界に、取り残されたみたい。
君とあたし、
二人しか居ない景色。

なんだか嬉しくて、
一人、ニヤケてしまった。

ふと覗きこんだら、
君も微笑んだ。


通り雨は
気まぐれに、降って
気まぐれに、止んだりするんだろうな。


でも、お願い。
神様。
もう少し。もう少しだけ。


雨が止めば、
君は待ってる人の
もとに、帰ってしまう。


隣に居る君の指先が
軽く、触れた。
指を絡めたくなる衝動。
さまよう指先。


その時、君が
突然、ギュッと、あたしの指を握った。


あたしは驚いて君を見た。

嬉しくて、

泣きたくなって、

あたしは、
急いで俯いた。

(やばい。零れそう。)


思考回路が突然途絶えて、君でいっぱいになってしまった。


臆病なあたし。
臆病な君。

誰も報われない。


だけど、
こんなにも
幸せで、
胸がはちきれそう。


埃っぽい、雨の匂いが妙に現実的に、神経に響く。


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