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朧月夜と満月と…
【幼馴染 恋愛小説】

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朧月夜と満月と…-5

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「に、逃げちゃった…」
しばらく走ったら怒りもすっかり静まって、今は少し後悔してる。
ノートも渡しそびれちゃったし…
私は、鞄の中に入ったままの陽のノートを引き出してみる。そして、それをおもむろにペラペラと捲った。
何よ?宿題、終わってたんじゃない…
不思議な事に、昨日陽が『教えて』と言っていた問4には、ちゃんと答えが書き込まれている。
自分と違う解き方をしている所を見ると、どうやら私のノートを写した訳ではないらしい。
アイツ…何しに私の部屋に来たのよ?


悶々としながら学校に着くと、何故か私よりも先に陽が学校に到着していた。
「コレ!」
私は陽の席に近付いて、ずいっとノートを差し出す。
いつも通りに振る舞おうとしてみても、なんだか動きがぎこちなくなってしまう。
「サンキュ!てか、お前どこ寄り道してたんだ?」
「陽が早すぎるのよっ!」
「俺はほら、みぃと違って足が長いから!」
「どうせ私はチビですよっ!」
周りの皆が、私達のやりとりを見てケラケラ笑っている。陽も皆もいつもと何一つ変わらない…
でも私の心臓は、壊れそうな程にドキドキしていた。
心臓…もたないよぉ……


お風呂にゆっくりと浸りながら、今日一日を思い起こしてみる。
陽の顔を見るだけで胸が苦しくて…すっごく不自然に避けてしまってた様な気がする。
でも…このままじゃダメだよね?
同じクラスに居たら、毎日嫌でも顔を合わせる事になる。
それに、このまま陽とギクシャクしたままなんて…それだけは絶対に嫌だ。
私はお風呂からザッと上がると、早々に部屋に戻って携帯電話を掴んだ。


*******


明らかに避けられてるな…
俺は窓の外に浮かぶ月をボーっと見つめながら、今日一日のみぃの様子を思い出していた。
朝、俺の所にノートを持って来てくれたまでは良かった。まぁ、朝イチで『大嫌い』と言われて逃げられたけど、そこまでは良かった。まだ耐えられた。それなのに…
それからは俺と目も合わせず、話し掛けてもシカトされ…電話しようとしても着拒される始末……
そこまでされると、ハッキリ言ってかなりヘコむ。いくら俺の自業自得だとしても、これは流石に酷すぎる。
ったく…俺はどうしたら良いんだよ……

一人で暗く沈んでいると、急に携帯電話が着信を告げた。
相手の名前を確認した俺は、酷く驚いてしまう。
「み、みぃ!?ど、どうしたんだよ?」
まさかこのタイミングでみぃから電話が来るとは、微塵も思っていなかった。
ほとぼりが冷めるまで避けられ続けるのも覚悟していたのに…
「な、何か用か?」
『……用が有るから電話したに決まってんじゃない。』
みぃは電話の向こうで不満そうな声を出している。
「そ、そうだよな?うん。で、何?」
『今からそっち行くから。』
「は?」
『寝るんじゃないわよ?』
「はぁぁ!?……って、おいっ!みぃっ!き、切るんじゃねぇよ…」
俺の叫びも虚しく…気付けば電話からは、ツーツーという音が聞こえている。
な、何を考えてるんだ?アイツは…


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