朧月夜と満月と…-4
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「どうすっかなぁ…」
俺は高校の制服に着替えながら、憂鬱な気分に浸っていた。
よく考えてみたら、あの時わざわざカーテンを開けに行った時点で確信犯なのはバレバレな訳で…
いくらねだられたと言っても、抑え切れずにキスまでしてしまった事が酷く後ろめたい。
あんな事、するんじゃなかったな…
考えれば考える程、どんどん憂鬱になってくる。
みぃに会うのが特に憂鬱で、どんなを顔して会えば良いのか分からない。
全部、覚えてるんだろうな…
「学校…サボるかなぁ……」
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「はよっ!」
玄関を出た所で急に肩を叩かれて、不覚にも心臓が口から飛び出しそうになってしまう。
会わない様に慎重に周りを確認した筈なのに、早速陽に会ってしまった…と言うか、待ち伏せされていた。
「よ、陽!?な、なんでここに居るの?」
「なんでって…ノート!」
「ノート?」
「俺の宿題のノート、みぃの家に忘れて帰っちまったから…」
そう言って陽は、私の方へと手を差し出した。いつもと変わらない調子で…
何よ?コイツ…
何事も無かったかの様な顔をしている陽の様子に、沸々と怒りが沸き上がってくる。
「もぉっ、陽なんて知らないっ!大っ嫌い!」
私はそう吐き捨てると、脱兎の如く陽の前から逃げ出した。
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「……大嫌いは無いだろ、大嫌いは…」
走り去るみぃの背中を見ながら、俺は感傷に浸ってしまう。
せっかく意を決して待っていたのに、こうもアッサリ逃げられるだなんて想定外だ。
ったく…俺がどんな気持ちで……
ここまで来たら、何をしても虚しくなるだけの様な気がする。これならば、気持ちを伝えて避けられた方がまだマシだった。
「はぁぁ…俺はどうしたら良いんだよ……」