letter-1
ある人が唄っていた
届かない手紙を書いては送らずにと…
僕は無意識のうちに、それを繰り返していた
【letter】
一生のうち、僕が本当に好きになったのは、きっとあの人だけだろう…
出逢った頃はあんなに近かったのに、僕が男になってゆき、キミが女になっていくほど、僕らの距離は離れていったよね。
キミの手の温もりさえ、遠すぎて忘れてしまったよ
キミが初めて僕に笑った日
僕は嬉しくて笑い返したよね
あの時の笑顔は僕にとって太陽だった
キミに初めて彼氏が出来た日
僕は嬉しい反面、泣き出しそうだった
キミに話かけづらくなった
「よかったね」なんてホントは言いたくなかった。この想いを伝えていればよかった。
僕はできる限りの笑顔をキミに贈った。あれが精一杯だったんだ。
キミが初めて恋に敗れた日
泣き崩れるキミの肩には、違う誰かの手が乗っていた
僕はその隅で何もできずにただそこにいた
こんなダメな僕でも…
キミをまだ好きでいていいですか?
カラカラと乾いた紙にペンのこすれる音がする