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明日も明日もその明日も。
【エッセイ/詩 恋愛小説】

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明日も明日もその明日も。-1

たぶん。
身動きが取れなくなっていた。

ヌルリとした風がすり抜けていく時の、少しの不快感と、妙な懐かしさ。

ひんやりと纏わりつくなま暖かいあなたの皮膚。

そんな感覚を残して
【あなた】は居なくなる。

そして、また、ふりだし。


それでいい。

それでいいんだ。


チクっとする胸の奥をこじ開けて、覗こうとしたけどヤメた。


あぁ、【あなた】と逢う日はいつもこんなだった。
風がネットリと絡みつく様な妙に生々しい夜。

感覚的。
非現実的。
そして限りなく
非生産的。


【あなた】はあたしを、美味しいと言って、子猫のようにペロリとじゃれた。
何度も何度も、交わした口づけ。
甘い甘い密の時。


だけど、そこには、

意味も約束もない事を
あたしは、ちゃんと、
知っていた。


明日も明日もその明日も、あたしは、【あなた】を忘れられない。

だけど、
それで、
いい。

終わりのない夢なんて信じない。
あたしはこの、終わり、にいつも、突き進む。

身を捩るような甘美な切なさも愛しさも、
あなたの纏うその残り香も、終わりの前に只、無力。



愛してた。



そして、瞬間、ちゃんと、愛された。



だから、あたしは、またふりだしに戻る。
感情が溢れ出て、憎しみと愛しさがごちゃまぜになる一秒に。

始まってしまった瞬間が終わりだとすれば、またそこに存在する始まりを、
掬いあげて、
少しずつ、
飲み下す。

さようなら。

ゆっくりと、
【あなた】を、
飲み下す。

喉の奥、トロリと通り過ぎる不快感。

ゆっくりと、
【あなた】を
忘れていく。



明日も明日もその明日もとてもとても愛しい【あなた】
ねぇ、
忘れ、
られるかな?


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