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舞子 〜愛する人〜
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舞子 〜愛する人〜-2

「ただいまー」
玄関のドアを開ける。
外は冷えてて、汗をかいた体がすっかり冷たくなってた。
風呂入ろう・・・・・・ん?
クツを脱ぎながら、気付く。
両親のクツが、ない。 くっそー、また2人でメシ食いに行ったのかよっ!!
両親が再婚したのは俺が10歳の時・・・8年前。その間ずっとラブラブで、2人のいちゃつきぶりには俺も舞子も目のやり場に困っていた。しかも、しょっちゅう2人でデートだ。
全く・・・うらやましい限りですな・・・

―あれ・・・このクツは・・・

隆史が来てるのか・・・
隆史は俺が唯一親友と呼べる奴で、舞子の彼氏だ。
でも、まさか2人が付き合うことになるなんて・・・
毎日、隆史からのノロケ話、舞子からの恋の相談・・・

――生殺しだ――

気分はいっそう落ち込み、だらだらと階段を上がる。
風呂入って さっさと寝よう・・・

「ん・・・」

ん?

「・・・や・・・だめ・・・たか・・・」

舞子の、声だ ―― 舞子の部屋から・・・
この甘い声は 間違いなく・・・

逃げ出したいのに、足が鉛のように重くなって、俺は自分の部屋のドアノブを握ったまま、固まって動けない。

「あんっ・・・あぁ・・・」

――生殺しだ――

弾かれたように俺は一気にドアを引き開け、そのままベッドに倒れ込んだ。
枕で頭を覆い、耳を塞いで――
涙が出るのを 必死でこらえた。

・・・・・・

・・・・・・

あれ・・・ いつの間にか寝ていたらしい。
今、何時だ? 
制服のズボンのポケットから携帯を出す。
2時・・・25分・・・
あー、もぉこのまま寝ようかなー  でも汗臭いし、寒いし・・・

みんなを起こさないよう、静かに階段を下りる。
結局、風呂に入る事にした俺。 泥棒みたいに静かに歩く。
階段を下り、玄関を見る。
くっそーっっ!! あの親め!! いい年して泊まりかよ!!
人が落ち込んでる時に、のんきにラブラブしやがって!
それと・・・
隆史の奴・・・帰ったんだな。まあ、当然だけどな。
フンと鼻を鳴らして、俺は風呂へ向かった。


熱めのシャワーを頭から浴びる。
全身に鳥肌が立って、自分の体が思っていたより冷えていたコトに気付かされる。
ふと・・・
胸元を見ると、キスマークが・・・3・・・4・・・5つもっっ!
くっそー、エナの奴!
あ、もしかして・・・
急いで全身と頭を洗い、浴室から出て、洗面台の鏡を覗き込む。
「やっぱり・・・」
首筋にも赤い痕が1つ・・・
ばかやろーっっ 舞子に見られるだろーがっっ
首筋の痕をかきむしる。
・・・舞子・・・
首筋の手が宙に浮く。かきむしった痕にうっすらと血が滲む。
耳から離れない、舞子のさっきの声。
舞子・・・隆史のコト、好きなんだな。
・・・まあ当たり前か・・・
鏡の中の中の俺の顔が、情けないほど泣きそうだった。


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