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逆転のプール
【二次創作 推理小説】

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逆転のプール-7

 7月1日 午後1時11分
 地方裁判所 被告人第2控え室

「成歩堂ぉ……」
「わあ! なんだよ矢張!」
裁判は終わったけれど、矢張は浮かない顔をしていた。けれどそれもしかたないだろう。
「チクショウ! あのヤロウ! よくもカナを!」
「矢張……」
こうみえて矢張も傷ついているのかも知れない。ぼくは同情しかけたが、そのとき。
「なるほどくーん」
後ろから知っている声がした。ふりむくと、長い髪をひとつ結わきにした、紫の装束をまとった少女がいる。ぼくの助手(そして自称ぼくの事務所の副所長)、綾里真宵(あやさと まよい)だ。
「真宵ちゃん」
ぼくが名前を呼ぶと、彼女はぼくのほうに走りよってきて言った。
「もう! なるほどくんあたしをおいてったでしょう!」
「ご、ごめん。真宵ちゃん、はみちゃんに会いに行ってたから」
そんなぼくらの会話に、割りこんできた人間がいた。さっきまで哀しみにくれていたはずの男、矢張だ。
「久しぶり! 真宵ちゃん!」
「あ、ヤッパリさん! こんにちは」
「や、矢張……。もう、平気なのか?」
「ん? なにが?」
満面の笑みで聞き返されてしまった。
「なにがあったの? なるほどくん」
「……いいから、行こう。真宵ちゃん」
ぼくは真宵ちゃんを連れて帰ろうとした。
けれど、また後ろから呼ばれてぼくは振り返る。
「成歩堂」
「なんだよ」
「ありがとな」
少し驚いた。矢張が、素直にお礼の言葉を言うのは意外だ。
「どういたしまして」

 ――この事件が、まさかあの大事件に繋がるなんて、このときは思ってもみなかった。ひとまずこの事件は、これで終わり。また、次の裁判がはじまるまで……――


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