秘密〜和馬の祈り〜-1
1 秘密
〜和馬の祈り〜
中二:夏
麗らかな昼下がり。
ちょっと夢見心地な一時。
・・・さぎ、
ウルサイ。
「楸、」
何だよ。
「起きんか、楸ぃ―――っ!!!」
「うわっ!?」
大音響がした。
「なにっ!?・・・・って、あれ?」
皆の視線が刺さる。
「やっと起きたか」
大音響の主が、満足そうに俺を見た。
「あ。」
ーそうだ。ここは学校で、今は数学の時間。んで、目の前のこの男はー・・
「中嶋、先生・・・」
数学教師。
どっ、と教室中が笑いに包まれた。
「また授業で寝たの?」
俺の机の上に座っているヤツ一名。
「はははははっ!!!よりにもよって、中嶋の授業!!」
人の肩をばしばし叩きながら、爆笑しているヤツ一名。
「ウルサイよ」
目の前に座っているのが、俺の彼女で、山城 皐(ヤマシロサツキ)。
人の肩を叩いているのが、桐榮 翔(キリサカショウ)。二人とも、俺の幼なじみだ。
「和馬、最近良く寝るね?何かあった?」
皐が心配そうに覗き込んでくる。
「昨日、遅くまで二人で居たんだろぉう?だからじゃねーのぉ?」
けけけっと翔が笑う。
「翔ちゃん!!」
真っ赤な顔で、皐が叫ぶ。
「うるせぇ。翔、お前絶交」
「ひでぇっ、かぁ君!!君と僕の仲じゃないかっ」
「気持悪い事言うなっ!しかも、昔のあだ名で呼ぶな」
びしっ、と翔の額をはたく。
「ひどいっ。皐ぃ、何とかしてよ。君の旦那」
「皐に触んな。このバイセク」
まあまあ、と皐に抑えられる。ついでに一発ずつゲンコツのおまけ付きで。
「「った」」
ー何で俺まで・・・。
「和、帰ろう?」
放課後、寝ているところを起こされた。
「ー・・・ん、皐?」
「そう。ここで寝ないで、家で寝なさい」
ー母さんみてぇ。
ほらほら、と立たされた。
「眠い・・」
「ここで寝ないの!!ったく、本当に何があったの?」
ぶつぶつと文句を言いつつも、てきぱきと荷物の整理をされる。
「さんきゅ」
「お礼言うのなら、手伝ってよ!!はい、和の荷物!」
ぼすっと渡された。
「重っ」
何を入れたんだ。
「よしっ、」
ー何なんだ。その満足したような笑みは。
「いこっ、和」
腕を組まれた。
「ーあぁ・・・」
「ねえ、ねえっ」
にこやかに皐が話しかけてきた。
「何ー・・?」
半分寝惚けたように返事を返す。
もうっ、と怒りながらも、皐は話を続けた。
「久しぶりに和の家に行きたいな」
「は?」
「あっ、何その態度ぉ。こぉんなに可愛い彼女が、誘ってんだよぉ?」
ぷうっ、と頬を膨らませた。
ー・・誘うって、オイ。