『家族へ宛てた手紙』-1
私の名前は 安守 彩子(やすもり あやこ)。
結婚4年目の主婦。
私の家族―
一つ年下の旦那、伸二(しんじ)。
私が高校3年の時から付き合いだした。その頃からずっと“伸ちゃん”って呼んでる。
それから、息子が2人。
長男の心太(しんた)。2歳になったばかり。
次男の陽太(ひなた)。4ヶ月になった。
私の愛する 大切な 大切な 家族。
「あと、もって半年です」
医者に宣告された。
半年・・・って?
頭の中が真っ白になった。 何も考えられないって、こういうことなんだ。
ちょっと体調が悪くて、
だったらついでに健康診断でも・・・って気楽に受けたつもりが、
「半年」
声に出して言ってみる。
半年後には、私はいないの?
今まで経験したことのない、動揺と混乱。
そんな中、自然と浮かんできたのは2人の子供のことだった。
夜、伸ちゃんに話した。
どう伝えようか悩んだ末、冷静に、ストレートに伝えた。
伸ちゃんは、始め「冗談だろ」って笑って、それからしばらく考え込んで、それから声を震わせながら「冗談だろ」って言った。
そんな伸ちゃんを見て、私は始めて涙が出た。
私たちは向き合って、静かに、泣いた。
―あと半年―
何をしようか、どう過ごすか・・・
昨夜、伸ちゃんと2人で考えた。
―今まで通りに―
それが2人で出した答え。
今まで通り、笑って、怒って、ケンカして・・・ それでいいと思った。
そして私は、家族へ向けて手紙を書き始めた。
私がいなくなっても、私のこと思い出してもらえるように。
時間が許す限り。