runaway〜ある少年の逃避行〜-3
「巴さん、どうしました?! 大丈夫ですか?」
泣く生徒会長とそれを心配するいかつい男。物凄く画的にバランスが悪いような気が……。
「ええ、大丈夫です。それより、そこの男を捕まえてください」
指が差された先にいたのは、ボクがいた。
「あの男は私の思いを踏み躙ったのです。さぁ、捕まえてください」
えー、踏み躙ったの、あんたの方じゃないのか? ボクの気持ちが踏み躙られたんだけど……。
ピンクのハッピを着た集団が襲ってくるが、恐怖のあまり勝手に足が動き、逃げ出す。しばらく走っていると、誰も追い掛けてこなかったので、壁に寄り掛かり、安堵のため息をつく。その直後、ピンポンパンポンと放送が鳴った。
『こちら巴さん後援会、巴さん後援会です。全校生徒及び先生方にお知らせします。千葉と名乗るものが、巴さんを殺そうとしました』
話がでかくなってないスッか? というかボクの名前、千葉じゃないんですけど……。
『見つけだしたら、捕まえて我々に突き出してください! 繰り返します。賊の名は千葉です。今すぐひっとらえてください』
「居たぞ!」と声があちこちから聞こえてくる。何十人もの人物が一歩、また一歩と近づいてくる。ヤバイと直角したボクは、思わず走りだした。
こうして、この学校を舞台にしたボクの逃避行が始まった。