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隣人のち恋人、ときどき変人。
【幼馴染 恋愛小説】

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く・さ・れ・え・ん-3

「…余計なことかもしれないけどね、自分の気持ちがはっきりしてるなら、
 その気持ちに嘘をつくことは絶対にしちゃいけないよ。
 気持ちを伝えられずに後悔することほど辛いことは無いと思うから。
 ……なぁんてね、ま、五月蝿い義兄の戯言だと思って聞き流してくれて構わないよ」
秀にぃは照れくさそうに眼鏡を押し上げ、立ち上がると、そのままドアの方へと歩き出した。
秀にぃはいつもそう、僕が何かに悩んでる時には、必ずなにかヒントをくれる。
そんな秀にぃのことを僕は心から尊敬してるし、僕自身、少しでも近づきたいと思う。
こういう人じゃなかったら、アホチンだけど憎めない大切な姉ちゃんのことを任せてないしね。
「…秀にぃ、ありがと。姉貴にもありがとって伝えといて」
「おう…頑張れよ、佑くん。そんじゃおやすみ」
…そうだね。
逃げてばかりじゃ何にもならないよね。
瀬里奈の笑顔は僕だけに向いてて欲しい。
僕のキモチを両手いっぱい、溢れるくらいに受け取って欲しい。
それで今以上に大切な時間を2人で創りたい。
そのためには。
…瀬里奈に想いを伝えよう。

* * * * *

「それじゃ、モップがけして後片付けすんだら解散な」
「ありがとうございましたー」
やっとこさ今日の部活が終了、時計は既に8時を回っていた。
僕はのんびりとラケットやシューズ、シャトルを片付けていたので、
気づいたら部員はすでに部室へと引き返しており、
体育館の中にはフロアの隅で芋虫みたいになっている瀬里奈と僕だけになっていた。

…なにやってんだ、アイツ。
「…何やってんの、それ」
「ん?だってヒンヤリして気持ちいいんだもん。神楽もやりなよ」
新しめの床にペタリとうつ伏せになったまま、幸せそうに微睡む目だけが僕の方を見つめる。
「ふーん。オレもやるかね、モノは試しだ」
「そしたらお隣り空いてまっせ、神楽兄サン」
瀬里奈のあまりに気持ち良さそうな表情を見て、僕も寝っ転がってみようとすると、

彼女は、ポンっと自分の目の前の辺りを叩いた。
どうやら「ここに来なさい」と言うことらしい。
「何キャラだよ、それ」
「ふふっ、なんだろね。それにしても気持ちいいなー。
 …なんかふにゃっとしちゃう。そう思わない?」
すぐ目の前で寝転ぶ瀬里奈の顔。
火照った顔に、やや虚ろな目が真っ直ぐに僕の顔を捉えていた。
……今言おうか。
こういう少しくらいおかしな状況の方が話しやすいもんな。
面と向かってだと、変に緊張しちゃって60%くらいしか伝えられない気がする。
決意とともに少しずつ早くなりだした、鼓動の音。
…瀬里奈に聞こえないと良いけど。


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