Candy-1
甘酸っぱさが
口の中に沁みる。
空の青がこの目をすりぬける。
涙にはこんな風にして、色がつくのだろう。
「そういうのうける〜!」
「だろっ!?俺流だかんな」
「最高!!ほんと田村くんいいー」
笑い声がこの耳をすりぬける。
あの愛しい人の声が夏の暑さを揺るがす。そんな気がして。
入ってゆけない。
決して。
「あ!福島さん?」
「………え?」
「あ、飴いる!?」
「…あ、うん!」
「はいっ」
「ありがとう」
「じゃあ、またな」
「…ばいばい。」
何気ない会話が私を詰まらせる。
誰にでも笑いかけるあの人。
眩しくて、近寄れやしない。
でも、でもね。
今この口の中にある飴は、ひどく優しくて、いつまでも美味しい味。
そう、まるであの人のような。
いつか伝えたい想い。
甘酸っぱいCandyに託して。