投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

【その他 恋愛小説】

恋の最初へ 恋 15 恋 17 恋の最後へ

恋…後編…-8

「いい、分かった…今度から分からない時は聞きにきなさい!それから、先月の事業報告も間違えてたわ…赤字で訂正しといたから、修正して再提出するのよ」

と、20ページはある書類を一巳に渡した。最初のページから赤字が見える。
「すいませんでした。以後気をつけます。コレは早急に提出しますから」

一巳はペコリと頭を下げて総務を後にした。

あの日以来、一巳と亜希子は会社以外では会っていなかった。お互いに気まずさが残り、会えないのだ。

「随分しぼられたようだな、"細川女史"に」

先輩が一巳に声をかける。一巳はそれに対して愛想笑いを浮かべるだけだ。そして、先程の事業報告書を修正しようと手に取ると、中から何が床に落ちた。

一巳が手に取る。会社の封筒だった。"藤野一巳様へ"と書かれていた。差出人は書いていない。一巳はそれをポケットにしまうと、書類へと向かった。


自宅で風呂上がりのビールを部屋で呑みながら、昼間の封筒を開ける。中からは便箋2枚に綴られた手紙が出てきた。

拝啓で始まるその字は亜希子からだった。

『一巳君、亜希子です。アナタへ初めての、そして最後の手紙を送ります。結論から言いますね(遠回しなのはイヤなので)私、彼ともう一度やり直します。あの時のアナタの言葉がきっかけとなりました。感謝!感謝!今、とっても幸せな気分です。もちろん!アナタとの楽しかった日々は忘れません』

最後に(ありがとう)で締めくくられた手紙を一巳は読み終わると、一巳は手紙を破いてゴミ箱に捨てた。
そして、電話の子機を部屋に持ってきて電話をかけた。

「……あ、土田か?一巳だ。久しぶりだなぁ。……ああ、仕事が忙しくてな。それより今から会わないか?呑みたい気分なんだ。……じゃあいつもの焼き鳥屋で……」

一巳は服に着替えると、バイクを飛ばして出て行った。空は満天の星がキラキラと瞬いていた……


恋の最初へ 恋 15 恋 17 恋の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前