引力3 〜篠原編〜-5
「いや、ホラ、なんかうまく感情コントロールできなくて…。よく考えたらそんなに怒ることじゃなかったかなって…」
洗い物をして背中を向けたままの真澄。耳が赤いのがわかる。きっと初めてのことがたくさんありすぎて、素に戻った時恥ずかしくてどうしていいのかわからなくなったのだろう。
そっと近づき抱き締めた。
「僕の方こそ…ごめん…。」
「うん。……さとる?」
「はい?」
「……当たってる…」
「…すいません」
再び元気になってしまったソコが真澄のお尻に当たってしまっている。まったく男っていうのは情けない。
クスリと笑って真澄が振り返る。
「もっかい…する?」
顔を赤らめて上目遣いで聞いてくる。断るわけがない。返事をする代わりに深く口づけた。
「ん…今度は優しくね…」
真澄は途中でいったんキスを止め僕にしっかり釘をさした。
「ん…あ……はぁ……あふ……」
彼女のベッドで再び体を合わせると、ゆっくりゆっくり愛撫を始めた。良く考えると、こんなに優しく愛撫したことはないかもしれない。いつも自分を抑えきれずにいたのだと思うと反省した。
体中いたるところにキスの雨を降らす。真澄はその度に体をピクピクと震わせて小さく喘いだ。
「さとる…焦らしちゃやだ…」
しばらくすると真澄が控えめな声で言った。僕は自分が暴走しないように無意識で、彼女の敏感な部分を避けていたらしい。
「ココですか…?」
言いながら乳首を軽く噛む。
「ひゃぁっ…んっ……そこぉ…」
「ココもでしょ?」
指で最も敏感な芽を抓むと真澄はガクガクと体を痙攣させる。
「そこもっ!…ぁぅ…いいのぉっ……」
親指で蕾を転がしつつ中指を泉へ沈ませる。そのまま優しく動かすと奥からいっそう多く溢れてきた。
「ぁぁ…ん……さとるぅ……」
潤んだ目で僕を見つめる真澄。彼女の思いを酌んで、彼女の中に入る準備をする。
始めのうちは何度か付けないこともあったが、なるべくゴムをつけるようにしている。
やっぱり真澄が大事だし、責任が取れるようになるまではただ快楽だけを求めていてはいけないと思ってのことだ。さっきは我慢ができずにそのまま挿入してしまったので、これも反省しなければならない。
「いくよ…」
僕が言うと真澄は無言で頷いた。
「ん……んん……ん…」
できるだけ、ゆっくり優しくを心がけながら挿入していく。気を抜くといつもの様に激しくしてしまいそうだったので、代わりに体を密着させて何度もキスしながら髪を撫でる。
「ん…はぁ……あん……」
しばらくそうしていると、真澄が薄目を開けて僕を見た。
「さとる…いつもみたいに…して……」
なんとなく物足りなかったのは僕だけじゃないらしい。
「優しくしてほしいって言ったのは…君ですよ?」
僕はゆっくりな動きはそのままで少し笑った。
「やぁ…お願い……」
「しょうがないなぁ…」
うれしいくせに僕はわざとそう言った。そしてゆっくりギリギリまで引き抜くと一気に奥まで貫いた。
「ひっ…い……あぁっ……」
腰を打ちつけるように何度も何度も彼女を責める。
「ひぃ…ん……やぁ……あぅ…」
「気持ちいい?激しいの好きなんですね…真澄は…」
「や…ぁ……だってぇ……さとるの…せいだもん…」
「何で…僕のせい?」
「さとるが…あっ…いっつも…激しくして…ばっかりだからぁっ…」
「だから…激しいの…好きになったんだ?」
「ん…そぉだよ……さとるが好きなんだもん…」
最後の言葉は多少噛みあわないが、可愛いから許す。
「じゃ、いっぱい激しくして…あげますよ…」
思いっきりラストスパートをかける。
グチュグチュと淫靡な音と真澄の嬌声と僕の荒い息が部屋中に響いて、重なっていく。
「ひぅ…んっ…んっ…んっ…あっ…や……」
彼女の中が一段と強く締まる。
「んあぁぁっっっっ……っっ……」
シーツを掴み仰け反る真澄と同時に僕も果てた。
彼女を引き寄せる。腕枕をしてそっと髪を撫でる。
「ん…さとる……」
真澄が甘い声で僕を呼び擦り寄ってきた。
「なんか怖い…」
「何が?」
「あたし…さとると付き合ってからどんどんエッチになってない?歯止めが利かなくなりそうで…」
「僕が君をエッチにしてるんです。そんな君も大好きですよ。」
そう言って彼女を抱く腕に力を込める。
まったく歯止めが利かなくなるのは僕のほうだ。彼女と付き合うようになってから愛しい気持ちは膨れ上がる一方で、いつか彼女が離れていってしまったら…僕は正気でいられるだろうか…。
そっと真澄を見つめると彼女はもうスヤスヤと寝息を立てていた。願いを込めて頬を撫でる。
どうか…どうか彼女が僕から離れていきませんように……。
完