刃に心《第22話・人は何故、争うのか?》-6
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その夜。
日ノ土高校には、幾つもの影が集まっていた。
その中に疾風達の姿もあった。
全員、迷彩服を着込み、指先の無いグローブと目を保護する為のプラスチック製のゴーグルを装備している。
これは全て朧が用意した物であった。
サイズもピッタリで言うこと無しなのだが、何故こんな物があるのだろう。そして、何でサイズを知っているのだろう。
にこやかな朧に疾風は疑惑の視線を向けるのだった。
もっとも、朧から答えが返ってくることは無かったが…
そして、控え室となっている2年E組の教室で待つこと数十分。
『大変長らくお待たせ致しました。これより、開始致します』
長針と短針が頂上で揃ったのと同時にスピーカーから声が流れる。
『皆さんご存知かと思われますが、今大会の種目はサバイバルゲームとなっております。それにあたりまして、大会管理委員会から一言』
ごほん、と咳払いを一つ。
『皆さんにはこれから殺し合いをしてもらいます』
辺りは静まり返った。誰もがこう思っただろう。
「…ただ言いたかっただけじゃないのか?」
そんな皆の気持ちを代弁するかのように、疾風がボソッと呟いた。
『今、ただ言いたかっただけじゃないのか、と言ったそこの貴方ッ!』
突然、スピーカーから流れた言葉に思わず背筋を正す。
『その通りです』
ガクッと疾風の足が滑る。
『まあ、冗談はこれくらいにして、準備に取り掛かりましょう』
パチン、という指を鳴らす音がした。
それを合図にして、黒子のような格好をした者達が現れ、室内に巨大な箱と銀色のアタッシュケースが運び込まれる。
『では、皆さんに例のものを』
黒子の1人がアタッシュケースを開いた。中には鈍く光る腕輪が7つ。
『それを手首に付けてください』
疾風達は腕輪を左手首に付けた。
『今からルールを説明します。
基本的なルールはご存知の通りです。そちらの箱の中に入れられた武器各種を自由に使って、競いあってください。
ライフポイントは1人1つです。銃に込められた特殊弾、及びナイフ類の特殊硬質素材製の刃が身体に触れたと判断されると、その腕輪より麻酔薬の塗られた小さな針が飛び出し、ゲーム終了となります。
尚、麻酔薬は数時間程で効果が切れ、副作用なども有りませんのでご心配無く』
「すみません。質問なんですが…」
朧がスタッと片手を挙げて言った。
「こういう武器は使用不可ですか?」
朧が腕を振った。
瞬時に指の間に忍針が挟まれる。
それを見た黒子が襟元を口に近付け、何かをボソボソと呟いた。どうやらピンマイクのような物が付いているらしい。
『えー、ただ質問がありましたが、その箱の中以外の武器の使用については殺傷目的で無ければ許可します。ただし、判定は降りません』
「了解です」
『それでは最後に、各チーム、リーダーを決めてください。決めたら、リーダーは赤い帯を貰い、見えるところに付けてください』
疾風はどうする、といった顔で皆を見た。