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刃に心
【コメディ 恋愛小説】

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刃に心《第22話・人は何故、争うのか?》-2

「えっ?マジッスか?これ、本物ッスか?」

眞燈瑠はそんな疾風に駆け寄り、両手で頬を掴んでムニムニと引き伸ばす。

「ひぇ?ふぁの…ひょっと…」
「う〜ん、剥がれないッスね…と言うことは、本物ッスか♪」

眞燈瑠は嬉しそうに叫ぶと、疾風から手を離す。

「うわぁ♪光栄ッスよぉ〜♪」

疾風を含め、4人はただただ、呆然とするしかなかった。

「あ、申し遅れたッス!自分は『香月眞燈瑠(カヅキマヒル)』と言うッス!
日ノ土高校一年、華の女子高生ッス!
皆さん、眞燈瑠って気軽に呼んでほしいッス♪」

眞燈瑠はへへっと笑いながら、鼻の下を擦った。
その仕草は女子高生と言うよりも、未だやんちゃ盛りの男の子と言ったところである。

「女子なのか?それにしては珍妙な喋り方をする…」
「楓先輩には言われたくないッスよ〜」

楓の目が丸くなる。

「な、何故私の名を?」
「他の二人も知ってるッスよ。千夜子先輩に刃梛枷先輩ッスよね?」

眞燈瑠は千夜子と刃梛枷を見て、微笑んだ。

「おぼ姉からよく聞いてるッス!」

物凄くキラキラとした瞳で眞燈瑠は4人を見つめる。
それはまるで、ヒーローショーを見ている子供のように。

「…先輩、何て教えたんですか?」
「秘密です♪」

問い質しても無駄だろう。
そう思った疾風はそれ以上追及しなかった。

「ふ〜ん、性悪の従妹にしては素直そうじゃねぇか」

千夜子はそう言って、眞燈瑠に近付いていく。

「よろしくな」

千夜子は左手を差し出した。

───スチャッ。

突然、眞燈瑠の右手が動いたかと思えば、次の瞬間には千夜子に額に黒光りする拳銃が突き付けられていた。

「何ッスか?」
「うっ…」

そう呻く千夜子の右手には、その辺りに落ちていたと思われる工具が握られていた。

「はいはい。お二人ともそこまでですよ」

朧が眞燈瑠の腕に手を置き、ゆっくりと下げていく。

「チョコ先輩も冗談が過ぎますよ」
「悪い…本当に役に立つのかなって思って…」

疾風に言われ、千夜子は少し決まりが悪そうに顔を曇らせた。


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