彼のキモチ3 −ハッピーバースディ−-1
オレは今ものすごーく悩んでいる。
「夕夜、何頭抱えてんの?」
こいつはオレの一番仲の良い友達、神田 史人(かんだ ふみと)。
ちなみにオレはお気付きの通り、佐倉 夕夜(さくら ゆうや)。
「葵が誕生日なんだよ、三日後に。」
葵こと、椎名 葵(しいな あおい)はオレの最愛の彼女だ。付き合って、三ヶ月。今や学校中に知れ渡るラブラブカッポー(笑)になりました!!
「へぇぇ〜〜。」
「だぁぁぁぁぁ!」
「な、何?」
「プレゼントどうすんだよ、オレ!」
そう、オレはまだ葵へのプレゼントを買っていなかった。
三日後までに買わなくちゃ。金の心配は無くても何がほしいのかわからんのは致命傷だ!
どうすんの、オレ!?
−放課後
「葵!帰ろー?」
「うん!」
この通り、付き合い始めてから毎日一緒に帰ってる。部活があるから葵を待たせることになるんだけど、やっぱ葵と帰らないとか考えられないから!
「あ、のさ。」
「ん?」
オレはとうとう決心した。葵にほしいものを聞く!一番手っ取り早い!
「ずばり、今一番ほしいものは?」
葵が悩んでる。か、可愛い……。何しても可愛いからな……。
−−−葵目線
葵です。今、夕夜君と家に帰る途中なんですが、急に夕夜君がほしいものを聞いてきました。
何事?
何かあったかな。あったような気がするけど忘れました。
今、ほしいものねぇ……。
「アイスクリーム?」
ちょうど食べたかったんだよね!アイス屋さんも目の前にあるし!!
ふと、夕夜君のほうを見たら、明らかに嫌そうな顔。そんな返答望んでないって顔してるし。
「アイスならいつでも買ってやるから!物だったら?」
「うーん…、えー…、何だろ?ほしいもの…ぬー。」
だいぶ悩んでいると、夕夜君が、
「考えすぎだし。おもしれぇ。なんかぱっとほしいもん浮かばない?」
と言ってきた。でもなぁ。何だろう。
「…夕夜君にあげるサッカーボールとか?」
「え?」
「あのボールが大事なのは分かるけどボロボロでしょ?あぁいうのは完全に壊れる前に押し入れにしまっておいて、思い出にとっとくの!それで、新しいのを買うべきだよ。って言っても夕夜君は新しいのを買わないからね。サッカーボールがほしい。」
「……。」
「あ、あれ?」