からすの飛ぶ空【踏潰し編】-1
―平成19年3月
とある学校の坂道で変死体が発見される。
それは無惨にも身元が分からないぐらいにズタズタに切り裂かれていた。
警察の地元の調査及び学校関係者達からの事情聴取の結果、いくつか面白い事が分かった。
―1つめに事件発覚直後にその学校に通う男子生徒1名が行方不明になっている事が学校関係者達の話しにより分かった。
―2つめに3月23日バス内にて、その男子生徒が異様な言動を繰り返し、ノートに何かを
書留ていた事が近隣住民の訴えで明らかになった。その後の調査で男子生徒付近に落ちていたメモがそのノートの切れ端の一部と一致した。
―ここまで来ればあの変死体は、その男子生徒の遺体となるのだが……次の調査報告内容で全ての歯車は噛み合わなくなる。
―3つめ…これは近隣住民や学校関係者(生徒等)に事情聴取をした際に全員に同じ質問をしたが帰ってくる答えは皆同じであり『事件の内容と証言が一致』しないものである。一番謎が多い内容であるため捜査撹乱の恐れがあるがあえて内容を書する。
それは、『25日以前に変死体など無かった』との事
―変死体が坂道で発見された日は、3月25日
―切り裂かれた傷や体の硬直度合いから変死体の死亡推定時刻は3月20日前後
―だが、変死体が発見された25日前には実は変死体なと何処にも無かったのだ。それは当たり前だ5日間も学校の坂道に死体があって発見されない分けが無いからだ。つまり考えられるのは犯人が20日前後に男子生徒を殺害し25日の日に学校の坂道に放置したと言う事
―だが気付いてると思うがもし変死体がその男子生徒の遺体なら矛盾が生じる。
―男子生徒は23日に一度バスの中で目撃されているからだ。では、あの死体は男子生徒のでは無かったのか?
―鑑識の結果さらに面白い事が分かった。飛び散った血液の凝固時間から血が飛び散った日にち3月25日
―さらに矛盾が生じる。
―死亡推定時刻は3月20日前後
―血液の凝固時間から死体から血が飛び散った日にちは3月25日
―通常は死後硬直と同時に体中の血液も凝固を初めるため、死亡推定時刻と血液凝固時間に誤差が有っても精々数時間、ましてや4〜5日も差が生まれるのは有り得ないのだ。
―この事件には謎が多い
私は観測者だが
直接事件に手を触れる事は出来ない。
―どうかこれを見た人にこの事件の真相を暴いて欲しい……。