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秘密
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秘密〜蒼い天〜-7

7 秘密
〜蒼い天〜
二年後


「お姉さまっ」
ぱたぱたぱた
後ろから千香子が駆けてきた。
「ダメよ、走ってはいけないでしょう?」
やんわりと足し舐める。
「申し訳有りません。ただ、お話がありますの」
「話し?」
ー何かしら。
「ええ、美沙子様が、お話があるから呼んできなさいと」
「美沙子さんが、」
ーまた人の妹を無断で使って。
「ありがとう。でも千香子、美沙子さんの言うことはあまり聞かなくて良いわよ。あの人、余計な用でしか呼ばないのだから」
「・・・確かに」
納得したように千香子がうなずく。
「さ、一年の教室にお戻りなさい。ここでは、目立ってしまうわ」
「ええ、そう致します。ごきげんようお姉さま」
「ごきげんよう」


「遅くてよ、菖さん」
「あら、ご免なさい。千香子と少し話していたものだから」
「まぁ、良いけれど。お兄様が、伝えておけと言っていたから伝えておくわね」
「翔さんが?」
「ええ。『今更だが、和馬を許して欲しい。哉嗣と結婚するのは構わないが、和馬の事は忘れないでくれ』以上ですわ」
「そう・・・」
ー『忘れないで』。そんなこと言われなくても忘れない。例え、帰ってこなくても。それが彼の選んだ道。道を変えることはできない。
「まだ、先生の事が好きなの?」
美沙子さんが尋ねてきた。
ー『好き』。
「好き、・・だったになるわね。『愛』ではなかった気がするわ。今考えるとね。この先、このキモチがどう変わるかは分からないけれど」
「菖さん、」
ぽん、と手を重ねられる。
「素敵なお姉さまに、可愛い妹。あなたには、支えになってくれる人が居るでしょう?」
「ー・・・ええ」
にっこりと微笑む。
「私は、今、幸せだもの」
これ以上は望まない。
「哉嗣さんは、どうするのですの?」
「哉嗣は、いずれ夫になる人として、大切」
「・・強くなったわね」
感心したように、美沙子さんが私を見る。
「強くなくては、いけないもの。強く、気高く咲いてこその華よ」
「そうね」

第三者の声。
「お姉さま!?」
驚いて声の主を見る。
「何故こちらに?」
「あら、わたくしが居ては駄目かしら?」
「いえ、」
「それより、どうかしたのですか?」
慌てて美沙子さんが助け舟を出した。
「いいえ。せっかくの晴れ空でしょう?外に出て見てみたくなったのよ」
「ソラ、」
不意に伝言を思い出した。

「蒼い天、」
「清々しいでしょう?」
ね?とお姉さまが笑い掛けてきた。
「・・本当に。」


空を見上げる。蒼い天が、全てを包んでくれるようだ。何もかも、・・・・全てを。



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