秘密〜蒼い天〜-6
6 秘密
〜蒼い天〜
「菖、ちょっと待て」
和馬の家に行こうとしたところを哉嗣に呼び止められる。
「なに?私、早く行かないと」
「行っても、意味がない」
「なっ、」
ー何を言ってるの!?失礼だ。
「哉嗣には、関係無いでしょう!?」
「あやめ、」
「何よっ」
「昨日、和馬さんにあった」
「え・・・?」
突然何を。
「あの人、昨日の内にここを離れるってさ」
ー何を言ってるの?
「だから、あの人の家に行ったって意味がない。・・もう、居ないんだから」
「どうして、」
意味が分からない。
「それはー・・・、」
「信じないっ」
勢い良く駆けていく。
「菖!?」
哉嗣の驚いたような声がしたが、構わず車をだして貰った。
「和馬ッ、」
ガチャ
バンッ
勢い良くドアを開ける。
「和馬っ!?どこ?」
周りを見渡す。が、誰もいない。心なしか、荷物も減っている気がする。
「かず、」
ー携帯がある。何で?持っていってないの?
カチャ、
ぴ、
何か無いか携帯を見てみる。
「・・メモ」
何か書いているだろうか・・・?
ぴ、
開いてみる。
『菖へ』
最初に目に入ったのは、その二文字。
「っ」
慌てて次を読む。
『菖へ
突然でゴメン。驚かせたかな。怒ってるよね。
正直に言うと、俺は菖のことがとても好きだ。けれど、これ以上は側にいることはできない。理由を言うことは出来ないけど、いつか、そう、君が大人になったら話せるかも知れない。それまでは、俺のことを忘れてて。
哉嗣君に話していたから、俺が居なくなったことはここに来る前に聞いていただろう?彼なら、君を託せる。本当に、君を愛しているみたいだから。ま、俺が戻ったときに子供が居たとしてもしょうがないだろうな。
昨日、誕生日だったって事すっかり忘れていたよ。年かな?笑
本当に有りがとうな。
最後に、大好きだよ。ずっと。』
「和馬・・・」
「結局、病名を教えてはくれなかった」
後ろから、哉嗣の声。
「必要ないだろ?ってさ」
「哉嗣、・・・理由を知っているのでしょう?教えて」
「それはできない」
「何故?」
「それも教えれない」
頑に口を閉ざした。
「ー・・ただ、」
「『ただ』!?」
ぐっ、と近付く。
「なに!?」
「伝言『天(そら)を見上げろ』」
「え?」
ーどういう意味?
「菖、・・・千香子ちゃんが、心配して電話をしてきたぞ。最近のお前は、変だから、って」
「千香子ちゃん、が」
「前に進め。それが、あの人の願いだと思うが?」
「願い、」
ー彼の。