秘密〜蒼い天〜-4
4 秘密
〜蒼い天〜
「『和馬』」
あからさまに嫌な顔をした。
「やっぱ気付いてたんだ?」
「えぇ、まあ」
ーそこまで嫌そうにしなくても。
思わず苦笑してしまった。
「義兄貴、ゴメン」
達也がうなだれたようにして謝ってきた。
「いいって。気にすんな」
ぽんぽんと、うなだれた頭を叩く。
「哉嗣も、ゴメン。・・黙ってるつもりは無かったんだけど、タイミングが」
「気にしてない。それより、桐榮さん」
「ん?」
「ちょっと、良いですか」
「・・・良いよ」
「何を聞きたい?」
達也を帰した後、哉嗣に話しかける。
「『和馬』って、どんな人ですか」
「『良い人』」
「・・・・・・」
「って、生徒に手を出してちゃ言えないな」
黙ったのを無視して続ける。
「アイツ、・・色々あったからな」
「躰が、悪いのでしょう?」
「!?」
ばっ、と哉嗣を見る。ー何故知っている。
「何の病気なんですか。彼は」
「俺には言えない。本人に聞け」
「学校に行けと?」
ーああ、それは確かに嫌だな。
どうすれば良いかを考える。
ー菖ちゃんを使うわけにはいかねーしな。・・やっぱ、俺か。
「桐榮さん?」
長い間黙っていたので、哉嗣がいぶかしみながら見てくる。
「よっし、ちょっと待ってな」
ぱちん、
携帯を開ける。呼び出す番号は、『和馬』。
『・・・なに』
寝起きのような声がした。
「和馬か?」
『俺の携帯だ。違う奴が出るか』
苛ついたように返事をされた。
「今から、大学に来れるか?」
『・・・何処の、』
「××××大学」
『遠い。』
「良いから、来い。・・・・菖ちゃんの婚約者が待ってる」
『何で、』
「話しは後。とりあえず来い」
『・・分かった。三十分待てろ』
ぷつっ
「どうでしたか?」
哉嗣が尋ねてきた。
「三十分後に来る。少し待ってな」
〜♪
携帯が鳴った。
「誰だよ・・」
名前を見、
「悪ぃ、ちょっと席外す」
慌ててその場を離れる。
ピ、
「はい」
『翔さん?何があったんですか?』
心配そうな声。
「菖ちゃん?それはこっちのセリフ。どうかした?」
『和馬が、急に出ていったから』
「・・一緒にいたの?」
『え?ー・・・あ゛っ、ちが、そんな事じゃなくて!』
焦ったような声がする。
「ははっ、別に何も言ってないよ?」
『・・・・』
「菖ちゃん、今一人?」
『?はい』
ー良いこと思い付いた。
「じゃあ、今から俺の言う通りにしてくれる?」
『・・・・え?』