I love Y?-1
8畳の洋室に、薄型液晶のデスクトップ型パソコン。
等身大のフィギュアはベッドの横。
小さめのフィギュアやガン●ムたちをショーケースに収め、人気アニメのポスターを壁一面に貼ってある。
これが俺の部屋、もとい城!
毎日帰ったらフィギュアに挨拶。
寝る時はポスターにおやすみ。
し・あ・わ・せ〜!
あ…初めまして!
俺は久坂 悟(くさか さとる)。
大学2年の19歳。
好きなことはフィギュア集め。ガン●゜ラ制作。
アニメを見たり、パソコンに向かうこと。
世間で言う、オタクらしいっす。
自覚ないんだけどね、俺としては。
逆に嫌いなものは、運動、外出(アキバに行くことは抜いて笑)。
あと…一番苦手なのは…
「うぉらぁぁぁぁ!!悟ぅっ!!!」
やべ…ま〜た来やがった。
ぐぅうほぉっ…!!
「ゆ…柚芽…みぞおちに蹴りはねぇ…だろ…」
痛いよー…怖いよー…
「あんたが日曜日に家でゴロゴロしてんのが悪い!」
あぁ…打撲痕をグリグリしないで下さい…
こいつは、雨宮 柚芽。(あまみや ゆめ)
俺の二こ下の幼なじみ。
小さい頃は「お兄ちゃーん」とか言って可愛かったのに…
今は鬼…怪獣…悪魔…デビル…
「何見てんのよ…?なんか言いたいなら今いいなよ!」
あぁスミマセン。
口が裂けても“柚芽は、デビルマンみたいだよな”なんて言いません。
ようやくみぞおちグリグリから解放された俺は、至福のガン●゜ラ作りを開始…
ドゴッ!!
「・・・!?・・・・・!!?」
後頭部を抑えながら振り返る俺。
後ろにはパソコンの液晶ディスプレイを持って、目を光らせる柚芽…
こ…殺される…
間違いなく、次の一発がトドメ…
あぁ…俺の大事な液晶が…
「映画、見に行きたい。」
「…?」
トドメではなく、柚芽は似つかない小さな声でそう言った。
但し、凶器を持ったまま。
「わかりました・・・」
半分恐々しながらも、従うしかない俺。
我ながら情けない・・・
重い腰をあげ身支度する俺を横に、液晶ディスプレイを戻す柚芽。
その綺麗な横顔は、優しく嬉しそうに微笑んでいる。
それを見たら、仕方ねぇなぁと思ってしまう。
確かに彼女は苦手。
アクティブで、言いたいことをズバズバ言う。
でもその反面、その優しい笑顔を見たい気持ちも強い。
よくわからない気持ちと一緒に、俺は彼女に引きずられ映画館へ向かった・・・
「ほら!早く行くよっ!!歩いてるか歩いてないか分からないような歩き方しないでよね!!」
あぁ…やっぱり苦手かも。