ルームメイト2-3
「あっ」
アキラの口から雑炊がこぼれ、勢いよく胸元へと流れていった。
「あ、わ、わりぃ」
「…もぉ…、量多すぎ…はぁ、なんかドロドロする…」
「ゴメン、手がすべっちまった」
「う…やだ…、やっぱ着替えたい…」
胸元へ流れた雑炊がみるみるうちにシャツを染めていく。
慌てて近くにあったタオルで拭き取ろうとしたが、ハッとして固まった。
流れた場所は、アキラの胸だ…
俺が拭き取るわけにはいかない、と、しばらく考える。
するとアキラが口を開いた。
「ん…、いいよ、脱がして…」
未だ息づかいが荒いまま、俺を見据えて言ったのだ。
ドクン!と心臓の音が聞こえた。
ぬ…、脱がしてっておまえ!
そんな目で懇願されたら…、か、勘違いするじゃねーか!
ドクドクドクドクと早まる鼓動につられ、目が泳いでしまう。
「いいの…、もう…先週、見られ…はぁ…見られてるし…」
そう言いながら、片手でシャツのボタンを一つ一つ外していくアキラ。
「それに…、も、汗…びっしょりで…気持ち…悪いし…」
言い終わらないうちに前がはだけ、ピンクのブラジャーが露になった。
「体…洗いた…い…けど、お風呂まで…行く気力、なくて…」
袖口から腕がスルリと抜けると、華奢な上半身が露出された。。
「だから…、はぁ…、背中、とか…拭いて?」
俺に背中を向け、ゆっくりと振り向きながら呟くアキラ。
なんて大胆な言葉。
でもその顔は紅潮していた。
少なからず恥じらいのある表情が見てとれる。
『ぷちっ』
と聞こえた…ような気がした。
―――GAME OVER―――
理性、決壊だ。
気付くと俺は、アキラを後ろから強く抱きしめていた。
むしろ今じゃ俺のほうが、アキラより荒々しい呼吸だと思う。
俺の腕の中にすっぽり隠れちまうくらいの、この細い肩のライン。
もうちょっと力を加えたら、折れちまいそうな華奢な体。
なのに、弱音も吐かず毎日一生懸命で、辛いことにも立ち向かう強さを持ってる。
俺は―――――
俺は………!!
その先に続く言葉を思わず意識してしまいそうになり、力任せに頭をブンブンと振った。
その意識を全て性欲のままに向けようと、アキラのうなじにしゃぶりつく。
「ひゃ!…ちょ…ちょっと…マコトっ…、あの…」
頬を紅潮させながらアキラがうろたえた。
俺はそんな戸惑いなどお構いなしに、目の前に広がる深い胸の谷間に恍惚としていた。
谷間の奥底に続く、雑炊の通り道も見つけた。
正直に「下着が邪魔だ」と思った俺は、背中のホックを外そうとする…が。
悲しきかな童貞、ここで経験不足による不器用さが表れてしまう。
ブラジャーの頑丈な三連フックが全く外せない。
…なんじゃこりゃ!!
気の焦りをよそに、指先は器用に回らず悪戦苦闘していた。
すると急に、ふっ…と締めが緩くなりフックを外すことが出来た。
途端に、窮屈だったアキラの胸がプルンと弾ける。