桜色kiss-1
僕、陽介が高校生だった時のころでしょうか。
僕には幼馴染の柚木という女の子がいました。
いつも二人で帰っていた道は、夕日が美しく見える海岸近くの道でした。しかし、あの日は違ったのです。
いつもの道を通ろうとしたとき、彼女はいきなり手を掴んで、
「たまには、違う道を通ろうよ。楽しそうだし。」
そこは夕焼けが美しく見える丘でした。
「私の話、聞いてくれる?」
ぼくは小さく頷いた。
「私ね、白血病だから、あと三年生きられないんだ。
こんな私でも、好きになってくれる?」
僕は答えた。
「当たり前じゃない!
今までも、これからもずっと好きだよ。」
柚木は泣きながら、こう言った。「キス、させて。私が生きてた証拠として。」
桜色の唇が僕の唇に重なった。
桜の香りがして、少し悲しくなった。
三日後、柚木は死んだ。
あまりにも早すぎる死だった
僕は彼女の最後を見とった。
「陽・・・介・・・?
私、君の事・・・好きで・・・良かった・・・よ・・・。」
手がベッドからダラリと垂れて、遂に動かなかった。
そして、僕の初恋は、遂に叶わなかったのです。