reality ability‐第2話‐北の町、white town‐-13
「私は攻撃をしないわ。‥‥さっきね、誠慈兄さんから倒したら、ダメって言われたのよ。よく解らないけどね。」
どうやら光は、完全に攻撃をしないらしい。
「はぁはぁ‥‥そうですか。なら、死へ誘ってあげましょう!‥‥」
〈ヒュ‥‥〉
「っ!!」
結の攻撃が突然止まる。そして‥‥
「ごほっ!‥げほっ!‥はぁはぁ‥はぁ‥‥」
やはり、血を吐いた。しかし、さっきとは違った。結は立っていたのだ。
「その身体で私に勝てるのかしら?」
「はぁ‥はぁ‥あたしはこの世界を壊すまでは‥‥」
「‥‥バカね。“それ”は“神”ですら出来ないわ。」
「‥はぁはぁ、知ってます。しかし、カオス様の“力”なら‥‥」
‥‥確かに、カオスと呼ばれている者の“力”ならと言いたい所だが‥‥
「どういう意味よ?‥‥結局、手下のやった事じゃない?」
その通りであった。ほとんどの行動は手下がやった事で、当の本人は何もしてなかった。
「‥‥貴女たちは知らないだけです。カオス様の“真の力”を‥‥」
どうやら、カオスには“禁断詠唱”以外にも隠された力があるらしい。
「‥はぁはぁ‥」
〈ドサッ!‥ボスッ〉
そこで、再度結が倒れる。今度は剣も離れるほどだった。
「はぁはぁ‥‥チャンスですよ?‥‥」
「それでも、私は貴女を攻撃をしないわ。」
「はぁ‥はぁ‥あたしの負けです。‥‥殺してください。‥‥」
「‥‥‥」
結は目を閉じる。“死”を覚悟したらしい。しかし、光は何もしなかった。ただ近寄るだけだった。
数分間、二人は動かなかった。すると、結が目を開ける。
「‥‥何故です?何故、攻撃をしないのですか?‥‥」
結は光が攻撃しない事が解らなかった。
「何度も言ったわ。私は貴女を殺しに来たんだじゃないの。“記憶の欠片”を手に入れたいだけよ。‥‥そして、お父様と共に生きる為にこの戦いに勝つの。」
「‥‥はぁはぁ‥あたしには何もありません‥生きる理由さえも‥‥」
「‥‥‥」
〈ポタッ‥‥〉
「‥‥え?‥‥」
結の顔に水滴が落ちる。結は光の顔に驚いた。