reality ability‐第2話‐北の町、white town‐-10
「‥‥‥」
「そんな事はどうでもいい。‥‥誠慈、織音様みたいに挑むのはいい。鍛練にはなるからな。だが、自分の力量を知るんだな。」
「親父に言われなくて解ってる。だが、アイツを見ていると苛立ちが湧いてくるんだ。」
「‥‥そうか。まぁ、頑張る事だな。勝てるとは思えないがな‥‥」
「いつかきっと‥‥。」
「ふっ‥。‥‥その刀の元所有者の気持ちは優しさの心だな。お前が譲り受けるとは意外だな。‥‥まぁ、いいか。じゃあな。‥‥ゆっくり休めよ。」
〈ガチャ‥‥〉
凰輝は鞘にしまわれている刀を見た後にそう言い残し去っていった。
「‥‥解るのか。流石だな。‥‥‥」
誠慈はベッドの上で仰向(あおむ)けになった。天井を見つめていた。何を考えているか、だいたい想像出来る。
きっと、皇希の事だろう。彼の存在は“神”も越えている。誠慈はそんな皇希が許せないのだろう。
「ちっ‥‥」
誠慈は目を閉じた。寝るようだ。
‐時は戻り、現在‐
「‥‥と、こんな感じだ。」
「‥‥そうですか。」
「‥‥‥」
誠慈は祐を見た。
「‥‥祐。“記憶の欠片”って知ってるか?」
「‥‥知ってます。」
「何!?‥‥どこにある?」
誠慈は立ち上がり、祐の胸辺りの服を掴んだ。
「‥‥これです。」
すると、祐はズボンのポケットから一つの指輪を取り出した。どこにでもありそうな形だった。
「「指輪?‥‥」」
誠慈と光は見事にハモった。流石は兄妹だ。
「‥‥知らないんですか?カオス様はこれを死守しろと言ってました‥‥」
「‥‥‥」
「初耳ね。聞いてなかったわ。」
「そうですか。‥‥では、どうぞ。僕らは負けましたから‥‥」
「‥‥ああ。」
誠慈は祐から“記憶の欠片”と思われる指輪を受け取った。
その指輪からは、光沢とは違う存在の輝きを放っていた。‥‥何事もその光に吸い込まれるようだった。
「‥‥‥」
「‥‥死ぬなよ?せっかく、生かしてやったんだ。俺のした事が無駄になるからな。」
誠慈は祐を睨んだ。
「‥‥聞かないんですか?僕らの“闇”を‥‥」
「話してくれるのかしら?」
「‥‥事の始まりは10万年の戦いの後でした‥‥」
その後、祐の話からまとめて簡単言うと、祐と結の神坂家は神城家が罪神となった後に、他の上級神から迫害を受け、祐と結を残して滅びたらしい。