婚外恋愛(第一章)-1
恵子(37歳)は、堅実な両親の愛情を一身に受けて育ち、恋多き短大のキャンパスライフを送る中で、三歳年上の現在の夫と出会った。
夫は若くして起業した実業家で、豊かな経済力と強引な男らしさに魅了され、恵子が26歳になった春。周囲の歓迎と、祝福ムードに後押しされながら、躊躇う間も無く結婚を決意した。
あれから11年…
傍目には他人も羨む夫婦に見えても、社長業の重責に神経をすり減らし、心身を苛む夫を、必死に支え続ける歳月だった。
周囲から待望される懐妊の声とは裏腹に、薄れ行く夫への愛は男女の感情を消失させ、独り善がりで、苦痛を伴う夫婦の営みを拒み続けるうち、いつしか夫が求めてくる事も無くなっていた。
経済的には何一つ不満も無い代わり、マンネリに繰り返される毎日は変化に乏しく。忍び寄る老いへの焦燥感に比例し、女としての悦びを渇望する毎日に、突然巡って来た雅治(45歳)との出会い…
きっかけは、何気なく登録したメル友サイトだった。
仕事人間だった雅治は、不倫に走った妻と七年前に協議離婚。以来、失った愛の絶望感と、結婚と言う制度に対する疑念が拭えぬまま、愛に飢えた独り暮らしの淋しさをひた隠しに、小説の世界で描かれた、溺れるような愛に浸りながら、誰よりも真実の愛を探し求めていた。
子供を授からない、仮面夫婦のストレスを払拭するように、持て余す時間を、茶道とフィットネスジムで発散し、美しい所作と、大人の色香を備えた恵子。
自分自身と向き合う七年の歳月が、心に負った傷みを癒し、穏やかな精神と、削ぎ落とされた清らかな肉体を取り戻し、みなぎる若さと情熱を持て余す雅治。
出会いから一ケ月が過ぎた三月下旬。
そんな二人が、互いの欲望を貪り合うまでに、余計な時間は無用だった。
「あぁっ雅治っ、凄い大きいっ…あぁ〜っ!」
穏やかな陽射しが降り注ぐ日曜の昼下がり。
マンションの高層階に位置する雅治の部屋に招かれた恵子は、無防備な痴態を曝け出しながら、打ち寄せる快楽のさざ波に、幾度となく逝き果てていた。
「あんっ、あんっ…もっと突いて、目茶苦茶にして!」
燃え盛る、その肉体と魂は、道徳や理性の垣根を超え、本能の赴くままに身を任せば、雅治への愛に対する戸惑いや、夫への躊躇いを凌駕し、夫では充たされない深い女の悦びを知り、一人の女を実感出来る、至福の時をもたらしていた。
「あんっ、いぃっ!どうして雅治には判るの、ああぁあっ…そ、そこよっ、あぁあっっ…いぃっ!貴方が入っているのを感じる。ま、雅治っ…」
怒跳した雅治の肉樹が激しく突き返すと、
収縮する恵子の膣壁に締め付けられ、更に硬く膨らみを増していた。
「私、なんか恥ずかしいの、こんなに濡らしちゃって…」
「構わないさ。僕を感じ、受け入れてる証拠じゃないか。僕は恵子の総てが愛しいんだ」
「あっ、あっあぁ〜っ」
閃光のように走る快感が恵子の肉体を放心させ、絶え間ない花蜜を、しとどに濡れる花園から溢れさせると、甲高い喘ぎ声と共に、大きく背中を仰け反らせ、やがて絶頂を迎えさせていた。