「お母さん…〜冬香視点〜」-3
お父さんは残業で私がごみを捨てにいった帰りに家に着いたくらいだった。
「冬香………母さんは?姿が見えないが………」
「お父さん………」
涙が溢れた。
はりつめた緊張感が一気にほどけて、私は泣き崩れる………
「おい!母さんはどうした!?」
お父さんは何かを察したのか台所にいる母の元に走っていく……
『あなたが浮気なんかしなければこんなことにはならなかったわ!』
『それとこれとは話が別だ!なんてことを!』
『いつも悪いのは私なのね!あなたは愛人と楽しい一時。私は介護!我慢の限界よ!第一私の母親じゃないのになんで私に押しつけるのよ!』
『だからって殺すことはないだろう!』
『なによ!あなたはいつもいつも……』
何?
お父さんが浮気?
それでお母さんはおかしくなった?
じゃあ悪いのはお父さん?でもお婆ちゃんを殺したのはお母さん?
頭がぐるぐるしてる……
「自首しよう」
お母さんは騒ぎ疲れたのか部屋に行ってしまい、お父さんと私は話し合うことにした。
「でもっお母さんだけが悪いんじゃないっ」
私は大好きだったお母さんに戻して欲しかった。
お父さんがお母さんを変えちゃったんだ。
「それは…わかってる。だから俺が罪を被る」
「え?」
「母さんが落ち着いたら話そうと思う。」
「お父さん……」
男らしい父の一面を見て、少し前に思った事を恥じた。
でも、そんな事はさせない。
私が全て罪を被るよ。
大好きな二人を守ってみせるよ。
お婆ちゃんの事より、なぜか二人を……
母を守る使命感が私の中に生まれていた。
お父さんがいなきゃ昔のお母さんは戻ってこない気がしたから……
「わかった。じゃあさ、明日から忙しくなるね。」
「そうだな」
「明日春美に忙しくなる前の挨拶行こうかな……」
「春美ちゃんにはこの事は言うなよ」
「当たり前だよ」
もちろんこの計画は私の心の中にしまって置こう。
明日、春美にお別れを告げて警察署に行くんだ………
「ごめん春美…明日からしばらく会えないかも」
次の日私はさっそく春美を呼び出し忙しくなる事を告げた。