猫の恋物語・後編-1
ボクはコウ。
猫だ。
ボクはいつも願う。
人間になりたいと・・・・・・・
「にゃー・・・・・」
最近、旭は寝不足だ。
なぜなら、コウの息子である、トムが重い病気にかかったから。
酷い下痢でトムの体が動かない。
このままだとトムは死んでしまう。
旭は必死で看病した。
医師のアドバイス通りにしたがって・・・。
数ヶ月でトムの病気は治ったが、トムの体の成長は止まった。
理由は、成長期に重い病気のせいで・・・・・。
「よかった・・・・」
旭はほっとした。
しかし、そんな旭にコウはヤキモチを焼くようになった。
トムの甘えん坊が酷くなったから・・・・。
旭が仕事から家に帰るたび、必ず一番に出迎えるのはトムだ。
以前はコウが一番に出迎えるのに・・・・。
旭がトムをただいまと言いながらトムを抱きかかえる姿をコウは後ろで見ていた。
「コウちゃん」
そっと、コウを泪が後ろから抱きかかえる。
(泪・・・・)
コウは泪の胸に擦り寄った。
泪はコウを膝に乗せ背中や頭を撫でる。
「あたし、コウちゃんみたいに強くなりたいなぁ〜」
泪はコウを撫でながら言った。
「にゃ〜」
(泪なら強くなれるよ、ボクの妹だもん)
猫の言葉が伝わらないと分かっててもコウは泪を励ました。
弱虫で泣き虫な泪。
トムと良く似ている。
コウは思った。