猫の恋物語・後編-3
旭はコウが居なくなったことを素直に受け止めた。
マイが必死にコウの役目を務めたからだ。
アムロは相変わらず、泪より一樹を最優先に考える。
だから、泪の子守はマイの役目となった。
「コウちゃん、戻ってくないのかなぁ・・・・」
能天気な泪の言葉に少し涙がでる。
「・・・・」
マイは泪に抱きかかえられながら、涙を流すのを耐えた。
それから5年後、マイは自分の死期が近いのを知り、旭たちから姿を消した。
そして、その数週間後、コウは戻ってきた。
それと同時にアムロは出て行った。
理由、この家を守る役目が終ったからだ。
「おかえり、コウ・・・」
旭は帰ってきたばかりのコウを抱きしめた。
コウは久しぶりの旭の温もりに嬉しくて、頬を摺り寄せた。
その、喜びもつかの間。
コウには重い重い病気にかかっていた。
旭がそれに気づいたのはそう時間が掛からなかった。
コウが帰ってきた理由は最後に旭の顔を見たかったから・・・・。
自分がもうすぐ死ぬことがわかっていたから・・・・・。
だからコウは帰ってきた。
コウは直ぐに立ち去ろうとした。
しかし、それを旭は引き止めた。
昔から、コウは旭の言うことを聞いてる。
だから、コウは立ち去れなかった。
その日から、コウは点滴を打たれる毎日になった。
「にゃー・・・・・」
(つらいよ・・・・こんなことして生き延びたくないよ・・・・ボクのプライドが許せないよ・・
・旭・・・お願い・・・これ以上しないで・・・)
つらそうな表情。
コウは日に日にやつれていった。
「・・・もう、点滴は打たないでください・・・」
旭は医師に言った。
医師は最初は反対したが、旭の意思は揺るがなかった。
「コウがつらそうだから・・・・コウがこんなつらい思いしてるとここれ以上みたくない。自然な形で・・・・せめて・・・せめて・・・・」
旭は大人になって初めて涙を流した。
「にゃー・・・・」
コウは嬉しさで鳴いた。