チキンのススメ!-16
「アレって、空に浮かぶ
アレ?」
「そ、何かさ…ここで月見てたらそう思ったんだ!」
「私にはちょっと恐れ多い…かな」
「でも…オレの中では、
そんな感じに映ってる」
「買いかぶりすぎです…
それに、そんな優しくされたら私、また…泣いちゃいう…かも」
月を見ていた瞳を、すぐに伏せてしまう
「いいって!別に、
それに、優しさとは少し違うかもしれない…
君が自分を分からないって言うなら、オレは…鏡にでもなろうかなって、
そう思っただけ…」
「…私は、そんな風に見えますか?本当に…」
「自信持てって!自分に、
衣胡ちゃんは少し無愛想で、人付き合いに臆病で
でも優しくて、家族想いで…
いつも〈おはよう〉をくれた
あの時から、君はオレの
真っ暗な場所を照らしてくれてたんだから…」
「そんな、私―っ…ぅ?」
彼女の目から、不意に涙がこぼれた
「あれ?もうちょっと、っ我慢出来る予定だったん…ひっ…ぅだけど、」
彼女の目から溢れる涙
きっと、それは…必要な
モノで
『ずっと、いたよ…?』
「ぅ…っ」
「あの月みたいな君が、
少なくとも、オレの中にはずっといた…
オレがこんな事いっても、君の悲しみをどこまで減らせるかは分からないけど…
オレは君を認めてるから」
「…っ、あんまり泣き顔見られるの、好きじゃないんだけどな…」
「気にしない!気にしない!
それに、
昔誰かが言ってたんだ…
辛い時溢れた涙は
きっと―…」
必要な
「いつか笑う為に必要な
モノなんだ…って」
今は…満面の笑顔を見せないといけない、そう思った