【魅惑のお客サマ。-Aside-】-3
「あらぁー、いいの?ごめんねぇ」
…何だか拍子抜けする。
でもこれで、その人に会える。
「部屋は、右の2つ目だから」
見れば本人だと分かる…何故だか分からないが、俺はそう感じていた。
「わかりました」
そう答えると、俺は微笑むのも忘れて階段に足をかけた。
顔すら覚えていない、名前だって合ってるか分からない、大体…
(俺、何でこんな…)
普段の俺からは、予想もつかないようなこの行動や思考。
こんなに誰かのことを気にする事なんて初めてだ。
(3年間…楽しめるかな?)
そっか…ワクワクしてるんだ、俺。
俺の中の、大して覚えてもないヒヨコが、どんな風に成長してるのかが楽しみなんだ。
「ココ…だな」
部屋の前に着くと直ぐに、軽く深呼吸をして髪を整える。
そして、ノックをして扉を開いた。
「おはよう、ぴよ」
布団から覗く顔は、黄色いのだろうか…?
●End●