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栄光
【戦争 その他小説】

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栄光-1

かつての若くて勇敢な司令の姿はすでになく、過去の栄光に囚われた中年がそこにいた。彼を支えた兵も元帥も戦争で死に、銃すら撃てない補充兵も白いカーテンの中に消えていった。

そして、また一人。白いカーテンの中に消えていこうとしている者がいる。白髪の混じった初老のその兵士は、ボタンの取れた軍服を身に纏い、ボロボロの軍靴を履いていた。
だが、彼の目にはこの凍てつくモスクワの吹雪は 映っていない。彼の目に映るものは、マレンゴに跨がる若き司令にイタリアの戦場だった。
そぅ、彼もまた、過去の栄光に囚われた一人であり、過去の栄光に生きる者なのだ。

「皇帝万歳…」

そしてまた一人。
白いカーテンの中に消えていった。






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