投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

卒業の後
【その他 その他小説】

卒業の後の最初へ 卒業の後 1 卒業の後 3 卒業の後の最後へ

卒業の後-2

「漫画。面白かったよ。ありがとう」
「うん。今日ね」
「卒業式だったでしょ?どうだった?」
「うん、普通だった。その後ミクに会ってね」
「ミク?」
「友達。その子彼氏をアッシーにしてんの」
「へぇ」
「そういうのって男から見てどう思うの?」
「どうもこうも…いい気はしないだろ。よっぽど会いたきゃ別だけど」
「そっかぁ。あ、今日さ、暇だったからメル友と会ったんだ。特に何もせず終わったけど」
「メル友いたんだ?暇なら俺の所来ればいいのに」
「だって時間約束してたし、ちょっと面白そうだったんだもん」
「それ女?」
「…男」
「…」
「何もしてないよ!ただドライブしただけ」
「…」
「本当だよ?面白かったから話そうと思って…浮気じゃないよ」
「他にメル友いるの?」
「シュウだけ」
「名前で呼んでんの?」
「偽名だよ。私も偽名」
「…もう会うなよ」
「…ごめんなさい」
時計の針の音だけが生き物のようだ。静寂が私たちを包む。

「…もう帰った方がいいんじゃない?」
「あ、うん」
「おやすみ」
「怒ってる…よね。ごめん」
「…」
「寂しかっただけだから。もう会わない」
「寂しかったら会っていいわけ?」
「ちが…」
「おやすみ」
「…。シュウはさ、歩くのゆっくりだったから、今日は足痛くないの。だから大丈夫だよ。心配しなくても」
「してねえよ」
「…お邪魔しました。おやすみなさい」

―バタン
ドアが閉まるとすぐ漏れるため息。
『こんなつもりじゃなかったんだけど…私が悪いよなぁ。あんな皮肉っぽい事何で言っちゃったんだろ』
携帯を開いてみる。着信もメールもなし。
もう一度シュウのいる場所を振り返る。だが、もう暗いため全く見えなかった。またため息をつきそうになるのをはっとして堪える。
空を見上げる。今日は良く晴れている。幾つもの星座が肉眼で見分けられるほどだ。
明日の朝は冷え込みそうだな。私の心も。今日より冷めなきゃいいけど。


卒業の後の最初へ 卒業の後 1 卒業の後 3 卒業の後の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前