投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

School days
【学園物 官能小説】

School daysの最初へ School days 34 School days 36 School daysの最後へ

School days 4.4-2

「だから何してたぶらかしたのよっ!?」
トイレへ入った瞬間、そんな叫び声が響いた。
「そ、そんなんじゃ…」
「じゃあどうして隼人(はやと)がアンタなんかに心変わりするのよ!」
「知らないよ…っ」

パシンッ

肌と肌がぶつかる音がした。おそらく、頬をひっぱたいた音。
うわ…修羅場…。
声からするとそこに居るのは三人。うちのクラスの女子だ。
叩かれたのは三科羽揺(みしなはゆる)。柿沢と同じく学級委員だ。
それで言い寄っているのが梶悠美(かじゆうみ)と篠川サン。
―…ああ、あの噂は本当だったのね。
「悠美に謝りなさいよ」
「!?でも私、ホントに…」
「しらばっくれないで!」
梶サンが半泣きの声で叫ぶ。今一番泣きたいのは三科サンだろうに…
「ここで土下座しなさいよ」
冷たい篠川サンの声が響いた。は?あんた正気なの!?
考えるより先に体が動く。

「止めなさいよ、みっともない」
気がついたらあたしは、三科サンを背中にかばうようにして立っていた。
ああ、もうこーなったら後には引けないわね。
「心あたりないって言ってるじゃない、いい加減にしなさいよ」
「あ、あんたには関係ないでしょう?」
梶サンが言葉を途絶えさせながら言った。あぁ、不良のあたしだもんね。びびってんのかしら?
「そりゃね。関わりたくもない話だけど。それは三科サンも同じでしょうよ」
そう言うと、あたしは三科サンの腕を掴んでトイレを後にした。
トイレの前には結構な人だかり。みんな成り行きを気にしてたんだろう。
てゆーか助けなさいよ、見てるくらいなら。
腹がたって、人に見られるのが嫌で、あたしは早足で歩いた。

校舎の端にある手洗い場で足を止める。ハンカチを濡らし、渡す。
「冷やして。腫れないといいけど」
「あ、りがと…」
「落ち着くまでそこに居たらいいわ。先生には保健室って言っとくから」
そうして傍を離れかけるあたし。
「あ、光木さん…」
振り返る。
「あの…もう少し居てくれる…?」
「…いいけど」
あたしは三科サンの横に並ぶ。
沈黙。
授業開始のチャイム。
沈黙。

「…聞かないの?」
三科サンがぽつりと言った。多分「何があったか聞かないのか」って意味だろう。
「人のこと、好んで干渉するタイプじゃないから」
あたしは答える。
「光木さんて優しいんだね」
そうだろうか?今の、冷たい言い方だったかなと後悔したのに。
「もっと早く、勇気出して話し掛けてみればよかった」
三科サンはあたしを見て微笑んだ。
初めて柿沢以外の人にホッとした瞬間だった。

「光木さんて梨衣っていうんでしょ?可愛い名前だよね」
教室へ向かって歩きながら三科サンが言った。
「そう?」
「うん。梨衣ちゃんて呼んでいい?」
「ちゃんはちょっと…」
「じゃ梨衣。私、羽揺ね」
心がほんわか温かくなった。優しい気持ちが溢れだす。
「今日のお昼、一緒に食べようね」
教室に入る直前、彼女はそう笑った。


「えーとここらへんかな?柿沢、柿沢…」
放課後、あたしは柿沢の家探しに道をうろついていた。不審者に見えないだろうか?
「―…あった。…て、えぇ!?ここ…?」
やっと見つけた『柿沢』の表札。そこは、物凄いでかい家だった。
「でもここ以外、柿沢ってお宅ないし…」
意を決してチャイムを押す。
《――はい》
少しの間の後、女の人の声が返って来た。
「あ、柿沢名継くんのクラスの光木梨衣といいます。お見舞いに伺ったんですが…」
《はい…少々お待ち下さいませ…》
怪訝そうな返事を残して、女の人の声は途切れた。
あたしは改めて目の前の家を見る。
白い塀に囲まれ、門には鉄格子があった。電動で動くんだろうか?
その向こうには、いわゆる日本庭園が広がっている。きっとあの池には錦鯉が居るんだろう。
家本体は、威厳のある和風建築。瓦一枚でも云十万するんじゃないのか…

ガラガラ

玄関の引き戸が開いて、御年六十程のおばあさんが出て来た。
「どうぞこちらへ」
「あ、はい」
なんだ、これ電動じゃないのか。あたしは手で鉄格子を押す。
なんか緊張する…


School daysの最初へ School days 34 School days 36 School daysの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前