キレイごと2-1
私は福祉関係の仕事をしている。『福祉』と聞いて“老人”をイメージする人が多いと思うが、私は障害者に関わる福祉をメインに行っている。
私は仕事柄、様々な障害者と出会い、また様々な障害者施設に出向くことが多い。
その中で、障害者施設の運営者や障害者系NPO団体の代表が、よく口にする言葉がある。
『障害も立派な個性です』
『障害を持っているありのままが素晴らしい』
など、様々なありがたい、ご立派な『キレイごと』
障害はどう転んだって障害でしかない。どのように見方を変えても障害はマイナス要素でしかないであろう。
様々な障害者と話しをさせて頂く機会が多いのだが、障害者皆、障害をマイナスであると考えているようだ。少なくとも、今、私の周囲にいる障害者は障害をマイナスとしか見ていない。障害さえなければと日々の生活の節々に考えているようだ。
そんな中で、健康体で普通に生活を送っている人間が『障害は立派な個性です』などと発言している度に冷たい視線を送ってしまう。
障害者は一様に苦労して生活を営んでいる。生活の節々、一つひとつに様々な苦労がある。また、その度に家族や身近な介助者が障害者本人と共に大変な努力をしている。
そんな努力や苦労を『素晴らしい個性』と言われてしまった時、障害者やその家族はどこに気持ちをぶつけたらよいのだろうか。
障害が『素晴らしい個性』であることも『ありのままが素晴らしい』ということも理想論でしかない。その理想を健常者が、障害を持って毎日を現実に生きている障害者やその家族に突き付けるのはあまりに残酷であるように思えて仕方ない。