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堕天使と殺人鬼
【二次創作 その他小説】

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堕天使と殺人鬼--第11話---9

 晴弥は耐え切れず目を逸らすと、思わずその場にしゃがみ込んで口元を両手で覆った。胃の中身が逆流して、猛烈な吐き気に襲われたのだった。喉元まで湧き上がってきた嘔吐物を、吐き出さないよう必死で飲み込んだ。そうするのが精一杯だった。
 あんな、あんな惨い――さっき三木原は、国のためだとかなんだとか語ったが、こんなことが許されることなのだろうか。あんな姿に、人は、なれるのか。いや、そもそもあれは人なのだろうか。あれが――あれが近い将来の、自分の姿なのだろうか。
 麻也の悲痛な叫びは続いていた。晴弥は口元を覆っていた両手を、今度は両耳に強く押し当てる。聞きたくなかった。その単語だけは、どうしても聞きたくなかった。あれは人だと、いや、そればかりか、あの?物?が自分も知っている人物だと、認めたくなかった。
 晴弥の中の、もう一人の自分が告げた。――ほら、やっぱり正気じゃ、いられなかっただろう?

 彼女はこう、叫んでいる。
「いやあああ! 嘘……嘘でしょ――優美いいいいいいいっ!」


 それは、つい先日まで机を並べていたはずの女子生徒――保志優美(女子十五番)の死体だった。頭が半分も欠けて、誰が生きていられるものか。紛れもなく、それは死体――だった。





【残り:三十七名】


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