『beat mania UDX』より不夜城の仲間たち〜茶倉-1
医者や看護師の怒鳴り声。
それが、アタシが最後に聞いた音だった。
気が付くと、アタシはとあるゲームセンターの前にいた。
今日は週末なのだろうか、周りは人、人、人でごった返している。
ん?今日って何曜日だっけな……。土曜日?日曜?
「なんでアタシャここにいるんだ?」
何故かは知らないが、ここに立つ前の記憶がスッポリと抜け落ちていた。
「とりあえず、聞いてみるか」
そう呟いて、比較的ゆっくりと歩いている兄ちゃんに声をかけることに決める。
「なあ、今日って何曜日だっけ?」
だが、アタシを空気の様に認識しているのか、兄ちゃんは何事もなかったように歩いていく。
「っ!おい!」
さすがに今の態度は失礼だ。答えたくないのならこっちを向いて伝えるべきだろ!
久々にムカついたアタシは、男を止めようと、肩に手を掛けた……はずだった。
するっ
アタシの手は男の肩をすり抜けて、男の前方へと抜け出た。
バランスがとれなくて前のめりに倒れる。アタシは必死に目の前にいる男の体にしがみつこうとした。だが……。
するっ
「ぐぇっ」
またも体が男をすり抜ける。アタシは自分でも惚れ惚れするくらいに、綺麗に前にすっ転んだ。
痛む体を起こすと、さっきの兄ちゃんはまた何事もないようにすたすたと歩いていった。
「おい!!てめぇ、まちやがれ!」
あの野郎……人がこれだけ聞いてるのによ、もう許さねえ!ぶん殴る!
握り拳を固めて、去っていく男の頭をぶっ叩こうと走ろうとした。だが……。
走り始めた瞬間、急に体が重くなった。