『beat mania UDX』より不夜城の仲間たち〜茶倉-2
な、なんだ……?
自分でもよく判らない感覚に四苦八苦している間に、兄ちゃんは視界から消えていた。
しょうがないので、とりあえずゲーセンの前に戻る。すると、さっきまでの不思議な感覚が消えたのだ。
「まったく……なんだってんだ!」
何度かためした結果、どうやらゲーセンから離れるとあの不思議な感覚が襲ってくることがわかった。
しょうがないので、ゲーセンの前で何人かに尋ねたのだが、結果は一緒だった。
誰もアタシを意識せず、相手に触ることもできない。
街が暗くなり始めた頃、アタシは入口前のベンチに腰かけた。
「くそっ、なんだってんだよ!」
何が何だかさっぱりわからない。街全体でアタシにイタズラでもしてんのかい?って、んなわきゃあない。
大体、なんで触れないんだ?おかしいだろ!まるで幽霊みたいな……。
みたいな……。
幽霊……。
「いやっはっはっ。まさかねぇ」
頭の中に浮かんだあまりにも馬鹿らしい考えを消去する。そうだよ、まさか幽霊なんてなぁ。どうやらいきなりの事態に、頭がこんがらがってるみたいだ。
だけど、いつまでもこうしちゃいられないね。とにかく、なにかしら対応策を見つけないと……。
『リリス、ちょっと待ってて?』
一人でぶつぶつ呟いていると、ふと前に人の気配を感じた。
顔を上げると、一組の少女が立っていた。
長い黒髪に、前髪を切り揃えた日本人形みたいな奴と、同じく長い髪だが、透けるような飴色の髪をした奴。どうやら二人とも学校帰りらしい。同じ制服を着ている。
「なにじろじろ見てんのさ」
どうせ聞こえないだろうから、思いっきり毒を込めて言葉を吐いた。すると……。
『あの…なにかあったんですか?』
飴色の髪をした女の子が返事をした。
通じた。アタシの言葉が!