『beat mania UDX』より不夜城の仲間たち〜ナイア-7
「ユーズはな、ナイアを慰めてるんだ」
「え?」
孔雀は私の疑問もそのままに話を続ける。
「ナイアはな、昔あった出来事で心をやられたんだ」
「心……?」
「精神的ショックってやつだろう。ぼろぼろの人形みたいだったって、識とユーズは言っていた」
心がぼろぼろになる……。一体ナイアさんに何があったの?今の彼女の様子からはうかがいしることは出来ない。
「いつか、ナイア自身が話してくれるだろ。俺は知ってるが話せない。信用の問題だからな」
「うん…わかった」
「まぁ、そんなナイアを元気にしたのが識であり、ユーズなんだ」
やっぱりユーズには、人を元気にする不思議な力がある。私も、ユーズのおかげで今も元気に過ごしてるから。ナイアさんも、ユーズに元気をわけてもらったんだ。
孔雀からもう一言二言聞いて、私は言った。
「ねぇ孔雀?」
「ん?」
「ユーズの……お願い」
孔雀はニカッと笑うと、返事をしてくれた。
帰りの支度を整えて、部屋から出ようとしたとき、
「セリカ」
後ろから孔雀の声がかかった。
「なに?」
「ユーズが他の女の子に目が行かなくなる方法を、教えてやろう」
「ふえ!?そんなのあるの?」
「それはだな…………」
セリカが帰った後、孔雀も識に別れを告げ、家路へと着く。帰り道で、さっきの出来事を思い出していた。
「くくっ、顔真っ赤にしちゃって」
セリカにしたアドバイス。それは至極単純な事だった。
「ユーズの彼女になればいい」
そう言うと、セリカはあうあうと暫く口を開閉させた後、嵐の様に帰っていった。今でも、思い出す度に笑いがこみ上げる。
「こりゃ鉄火も大変だな」
孔雀は、先刻の電話を思い出していた。