『beat mania UDX』より不夜城の仲間たち〜ナイア-5
「セリ……」
「同棲っっ!?」
「うわっ!」
二人を見てみると、両者ともに完璧な演奏をしていたけど、スコアは若干ナイアさんの方が高かった。
「識さんっ!!」
「な、なんだい…?」
「あの二人って……どういう関係なんですか!?」
「はぁ?……まぁ、ライバル同士みたいなもんかな?」
識さんの答えに、とりあえず恋人&同棲説が消えてホッとする。
「ただ……」
「ただ?」
「なんであんなに執着するのかは、僕でもわからないなぁ。もしかしたら、アレのためなのかなぁ……」
「アレ?」
「前にナイアちゃんがここの男共に、あのゲームで私に勝てたら、デートするとかしないとか、なんとか……」
デート?
それって、ユーズはナイアさんとデートしたいから頑張ってるの?っていうことは、ユーズはナイアさんが好きなの……?
なんか、あんまり考えたくない。足取りが重いし、フラフラする…。
「は、はは…じゃあ、識さん。私上がりますね」
「う、うんわかった。けど、セリカちゃん大丈夫?なんかフラフラしてるけど?」
「平気です……」
ユーズとナイアさんは、なんだかんだと言いながら、ゲームに熱中している。
割り込めるすき間なんかまったく無いとわかった私は、そのまま従業員室へと戻った。
荷物を取ってさっさと帰ろうと休憩室のドアを開けようとすると、中から孔雀の声が聞こえてきた。
独り言に聞こえたけど、よくよく聞くと、どうやら電話してるみたい。中に入るのもなんなので、私は終わるまで待つことにした。
通路で待っていると、孔雀の声がもれてくる。聞かないように休憩室を後にしようとしたけど、通路を戻るとまたナイアさんとユーズの姿を見てしまう。
通路でまごついていると、孔雀の話し声が耳に入ってきてしまった。
『ああ……リカね。わかった。しっかし本当に好きなんだなぁお前……』
リカ?私は聞いたことがない人の名前だ。孔雀の友達かな?
『あぁ、ああ。わかったから照れんなよ。おう、じゃあな』
通話が終わって数秒経ってから入る。なんだかちょっと後ろめたいかな。