『beat mania UDX』より不夜城の仲間たち〜ナイア-2
「孔雀がそれ作ってるの?」
「おう。ぬいぐるみからマスコット。フィギィアだってお手の物だぞ」
す、すごい……大きな孔雀が小さなマスコットを作っていると、さらに小さく見える。けど、ちくちくとマスコットを縫う孔雀は、その体の大きさに似合わず、なんだかちょっとかわいい。
なんでも、会社で着ぐるみを作る人に教えてもらい、はまったらしい。ものすごく手慣れた手つきでちくちくと作業を進めていく。
「欲しかったら誰のでも作ってやるぜ?」
「へぇ〜!」
よくよく孔雀の作っているマスコットを見てみると、すごく手がこんでいてかわいいのがわかる。ピンクの髪をした、チャイナドレスのマスコット。
「これは誰に頼まれたの?」
「識。あいつはチャイナドレス大好きだからな」
「あ、そう…」
識さんってば……奥さんいるのにこんなの作ってもらうなんて、それともこれって奥さんがモチーフなのかな?
孔雀の作業を眺めていると、カウンターから識さんの声が聞こえたので二人で出た。
「ナイアちゃん!久しぶりだね!」
「えぇ、識。お久しぶり」
カウンターに出ると、識さんが女の人と話していた。
うわぁ、キレイな人……!
白のジャケットとピンクの髪が、とっても柔らかい印象を与えてる。知的な顔をしているのに、識さんの言葉で子どもっぽく笑うこの人は、私の中にある理想の女性そのものだった。
そしてそのピンクの髪を見て、孔雀が作ったていたマスコットを思い出して、私は孔雀に向き直った。
「孔雀!さっきのって……」
「そうだよ?ナイアがモデル。本人には内緒で作ってるから、言うなよ〜?」
二人でこそこそと喋っていると、ナイアさんがこちらに気付く。
綺麗な瞳……。なんだか吸い込まれそう――じゃなくて!普通初対面の人には挨拶でしょ!
ただ挨拶をするだけなのに、何故か知らないけど私はあがってしまった。
「あ、こ…こんばんがっ……」
「「………」」
みんなの動きが止まる。
…。
……。
か……。
かんだ〜〜っっ!!
何やってんの私!?なんで挨拶でかむの?すごく恥ずかしい……。