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lullaby
【悲恋 恋愛小説】

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lullaby-1

柔らかい髪をなでてやると、優しい声で返ってくる下手くそな子守歌。



そんなお前が好きや。



―…ララバイ





「あ、おはよう」


目をこすりながら起きあがると、目を細めて笑いかける彼女の蓮(ハス)。


「今、何時?」

「もうお昼前!」


蓮はほらっと言わんばかりに目覚まし時計を俺の目の前に突き出す。

部屋に広がる香ばしい匂いに「何か作ったん?」と聞くと「パン作った!」と嬉しそうに笑う愛らしい彼女。


「ほら、早く着替えて行こー!」

「は?どこに?」

「河川敷!めっちゃいい天気やし」


蓮が指さす窓の外は、雲一つない快晴の青空だった。





蓮と付き合って二年半。
何に対しても適当で喧嘩三昧だった俺はずいぶん丸くなったと友達は言う。


「早く、早く!」


作りたてのパンなど、荷物を全部俺に持たせて悠々と前を歩く蓮のワンピースが春風に揺れる。


「どう?」

「ん、おいしい」


うららかな春に河川敷で彼女と二人並んで昼食。

メニューは手作りのパンと、コンビニで買ったサラダ。


「あー眠い」


お腹いっぱいになった俺は頭の下で手を組みながら横になった。

程よい太陽の光と風が心地良い。

芽吹く草木を風が揺らす。

すると蓮も俺にくっつくように横になる。


「シャンプーの匂いする」

「朝シャンしたもん」

「ふーん」


あーそうそう、この温かさ。この柔らかい髪。この優しい声。

めっちゃ落ち着く。


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