lullaby-2
春の日差しが水に反射して川がキラキラ光ってる、そんな日。
「何か飲み物買ってくる」
「俺も行くべき?」
「いいよ、いいよ!コンビニすぐそこやし!」
その時、少し冷たく強い風が音をたてて…蓮をさらっていった。
「……夢か」
あれから五度目の春、久しぶりに蓮の夢を見た。
俺の隣には蓮のぬくもりはなくて、今は別のぬくもりがある。
「そっか…命日や」
真夜中の薄暗い部屋は、ただ静寂が広がっていた。
ふいにベットの下にあったアルバムを開いてみる。
………蓮。
心配すんな。
お前を忘れたときなんてないから。
『過去にこだわる者は未来を失う』
……確かこんな感じの名言があった。
だから縛られるつもりはない。
こうやってたまに夢で逢えるだけでいい。
そしていつまでも記憶に残しておこう。
蓮の笑顔を。
蓮のぬくもりを。
俺の涙を。
何だか今夜はもう眠れそうにない。
だから春は苦手。
蓮の下手くそな子守歌が……恋しい。
―…ララバイ
END